【SDGs目標のターゲットを考える】1.貧困をなくそう

SDGsにある17目標のうち、ひとつめの目標は「貧困をなくそう」。これはキャッチコピーのような翻訳で、正確には「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」というのが目標。

世界には、「絶対的貧困」と「相対的貧困」がある。

【絶対的貧困】

kristi611によるPixabayからの画像
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極度の貧困とも言われる。2018年の「The Sustainable Development Goals Report 2018」のデータによると、1日90セント(最近のレートで90円くらい?)未満で暮らす人々は世界で7億8300万人いる。1990年時点と比べると改善しているものの、まだまだ日本の6倍以上の人口が極度の貧困状態にある。これを終わらせるというのがSDGsの最大ともいえるミッションのひとつ。ターゲットの1.1には「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々とお定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。」とある。

【相対的貧困】

Shelley ShangによるPixabayからの画像
Shelley ShangによるPixabayからの画像

その国や地域の生活水準を下回る状態。国によって定義が異なり、ターゲットの1.2には「2020年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の人の割合を半減させる。」とある。日本では厚生労働省が相対的貧困を定義しており、それは「相対的貧困率の算出方法から、等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯」とされている。相対的貧困率は、以下のように算出される。

厚労省 相対的貧困率等に関する調査分析結果について よくある質問から引用
厚労省 相対的貧困率等に関する調査分析結果について よくある質問から引用

最近の等価可処分所得中央値は250万円弱ぐらい、日本ではその半分=125万円/年以下の所得の人たちがこの相対的貧困に該当する。年々微増傾向にあり、人口に占める割合は2015年で15.7%。7人に一人が相対的貧困状態にある。
日本の貧困状況を詳しく知りたい方はこちら

一見普通に生活しているように見えていても実はというのがあり、際どい年収の人の中には自分が相対的貧困状態にあると知らない、気づいていない場合もある。日本では人口が減っている中で、この割合が増えるということは、格差が広がっていたり、地域の環境や人口構成、社会環境も影響している。こどもの貧困、ひとり親世帯の貧困、高齢者の貧困、老後資金2000万円などなど、この相対的貧困に関わる話題は事欠かない状態。これをあと10年で半減させるというのがSDGsターゲット1.2。

現代は強力な資本至上主義によるいわゆる「金さえあればなんとかなる」時代。逆に言うと「金がないと何もできない」時代で、気候変動による災害や今回のコロナウィルスによる経済打撃など、あらゆる災害の被害を真正面からくらってしまうのが貧困層。そしてこの貧困の影響が、SDGsのほかの16個の目標にも大きく関係する。貧困が他の課題を生み、その課題が別の課題を生む負の連鎖の起点になっている。だからSDGsの一番最初の目標は「貧困の撲滅」となっている。

ターゲットは他にも、貧困状況にある人が何に対して困っているのかを説明している。社会保障や普遍的なサービスへのアクセス、平等な権利などがそれにあたる。

【こども食堂の取り組み】

Hans BraxmeierによるPixabayからの画像
Hans BraxmeierによるPixabayからの画像

日本だと「こども食堂」などの活動を通じて、子供に対し食事と学習の場、コミュニティを提供している人たちがいる。相対的貧困層もそうでない層も同じ環境で時間を過ごしていく中で、大人がこどもの危険や異変を察知し守るような体制。具体的にどこも応援できてないけどスバラシイ取り組みだと思う。自分が知らないだけで、きっと近くのエリアでもあるんだろうなぁ。

自分にできることはめちゃくちゃ小さいし急にすべてを解決するようなことはできないけど、できる範囲から応援していきたい。

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