【SDGsを体感するゲーム】SDGs de 地方創生ゲーム

2020年6月、SDGs de 地方創生カードゲームの公認ファシリテーターの資格を取った。

運営事務局はissue+designというNPOと、株式会社Project Designという会社。ゲームを体験したのは2020年2月。コロナ感染が拡がりつつある状況で、感染対策(マスク、消毒)しての体験。SDGs関連ゲーム(ボードゲーム2030カードゲーム)と比べてルールは一番難しいように感じた。でもおもしろい。何回でもやりたい。

2030ゲームに似ている部分が多いけど、2030がグローバル視点だとすると、今回は日本版という感じ。地方の現状とか、ほんとにあるだろうなと思えるプロジェクトカードがある。あとは、参加者の中でも民間と役所に分かれているところ、まち(ゲーム上の世界)の状況を表す指標が4種類あるところも2030ゲームと異なるポイント。ほかに、2030ゲームはお金と時間を使ってプロジェクトを実行するのに対して、地方創生ゲームはお金とリソース(人)を使ってプロジェクトを実行する。

2030と共通するのは、「ゲームの世界、行いが現実世界にもリンクして考えられる」こと。実行したいプロジェクトに対しリソース(お金や時間、協力者)が不足していたら何をすべきか?自分が目の前のプロジェクト=世界に良い影響を与えようとしているときに、他の人は何をしているのか?世界はどんな状況なのか?ゲームを振り返ると同時に自分の生活を振り返ることにもつながる。

公認ファシリテーター講座はオンライン実施。2030のような試験的なものはなく、制度設計についての説明とか、特徴的なカード捌きの練習など。その分、本番での自分の練習量が問われるのだな。そして一番難しいのは、ゲームの運営でなく、その後の振り返り。ファシリテーターとしての中立性はどこまでも問われるところか。

2030と同様、まだ講座後に実践できていない。こっちもはやく実践したい。

そして2020年9月5日(土)、SDGs de 地方創生カードゲーム体験会が二子玉川で開催された。この体験会に、仮免卒業のためにサポートとして参加させて頂いた。ファシリテーター養成講座を受け、公認ファシリテーターが開催する会に1回以上サポートとして入ることで仮免を卒業できるシステム。

昨日は参加者12人。行政4チーム、民間7チームの11チームでプレイ。事前準備、ゲームの事務局はこんな感じ。
前日に練習したものの、緊張。自分がメインで開催することをイメージしながら見学。話し方、トーン、スピード、事例の出し方、目線の配り方。参加者の反応が良く、頷きながら聞いていたので話しやすそうだなと思った。

いざゲームが始まると、参加者がめちゃくちゃ積極的で事務局めちゃ忙しい状態、撮影も水分補給もままならず汗かいた。どの参加者も熱中している。このゲームの設計や資料など、コンテンツへの信頼が増す。資料に沿って説明すれば理解されるし、熱中してもらえる。そして熱中するほど、振り返りが充実する。12分×4ターン、あっという間だった。プロジェクトカードがなくなる事態になった。地域の状況メーターの結果がこちら

暮らしがずば抜けて良い結果。めちゃくちゃ住みやすい。他の指標も上々。持続可能な地域になった。振り返りでは「現実世界に通じるところが多く、行政巻き込みが必要なのだとわかった。現実は個人が積極的に動くことも難しいけど、いろいろな人を巻き込んで動くことでプロジェクトを実行し、地域の状況を変えていく意識が大事。」「自分は目的をもって行ったプロジェクトに目的とする効果がなかったり、意外なまちの動きがあったりして良かった」などの感想が出ていた。

自分がファシリテーターを務めるときにはゲームの事務局に回ってはダメだなとか(事務局作業で忙しくて参加者の様子を観察できない、具体的なフィードバックができない)、カードセットを何に収納しているかとか、進め方やヘルプの人数も勉強になった。

ひとつ武器ができた。どこかで実践したい。誰か練習付き合ってほしい。。。

SDGs目標のターゲットを考える 3.すべての人に健康と福祉を

SDGs17目標の3つ目は「すべての人に健康と福祉を」。個人的には、キャッチフレーズとターゲットのギャップが大きい目標ベスト1。キャッチフレーズや正式な目標「あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。」から連想すると、健康経営とか福祉(子育て、介護、障がい者)の充実をイメージするけど、もちろんそれ関連のターゲットもあるけど、それより重視していることがたくさんある。

まず3.1、3.2のターゲットは、妊産婦・新生児および5歳以下の死亡率低下。世界では医療体制が整っていないため、妊婦が安心安全に子供を産める状況にない地域があり、そこではいまだに妊婦・新生児ともに命の危険がある。5歳児未満の予防可能な死亡(ワクチン接種で回避できる感染症など)は2000年990万人から2016年560万人まで減少しているものの、まだたくさんの救える命が救えていない状況。このターゲットは数値目標もついていて、より具体的・野心的と言える。

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Katja FuhlertによるPixabayからの画像

ちなみに日本でも、ターゲットの数値目標は達成しているとはいえ乳幼児の突然死や寝返りに気づかず窒息死などが社会問題になっている。

ターゲット3.3は伝染病の根絶と感染症への対処。3大伝染病のエイズ、結核、マラリアもいまだ根絶できておらず、マラリアに至っては2013年から2016年にかけで患者が増加している。温暖化が進み、マラリアの媒介になる蚊の生息地に変化が起きた場合、これまでマラリア被害のなかった地域でも発生する可能性がある。住友化学が、防虫成分入りの蚊帳をつくりアフリカへ展開するなどのイノベーション・社会課題解決事例も出ている。
またこのターゲットは、新型コロナウィルスもしっかり該当する。新型ウイルスが経済、環境、社会に及ぼす影響はここで言うまでもないかと。いつか整理したいけども。

ターゲット3.4、3.5、3.6、3.9と3.aあたりは現代?近代?特有の課題かなと思ったけど、昔からあるっちゃあることかも。3.4では非感染症疾患、3.5はアルコールを含む薬物乱用、3.6は交通事故死傷者、3.9は有害化学物質や環境汚染による死亡・病気件数をそれぞれ減少させることを目標にしており、3.aではたばこ規制枠組み条約の実施強化が盛り込まれている。3.4は感染症以外の疾患と考えるとめちゃくちゃ広い話になるけども、「精神保健および福祉を促進」から見ると、精神を病む人や自殺者削減もここに該当すると思う。タイヤメーカーが3.6の達成を掲げて事業していると聞いたことがあるけどこれは事業活動を通じた社会課題解決につながる事例だと思う。3.aのたばこ産業の市場規模は巨大だと聞くけど、JTはこれからどう事業を展開していくのか、気になるところ。あとはアルコールもたばこも、国が税金をかけている部分なので税収増やしたい国との折衝というか権力争いのようなことも起きそうだなと思う。2020年10月からはたばこと第三のビールが値上げになった。主幹産業および貴重な税収減と、SDGsの課題解決とのバランスがどこに着地するか?

ターゲット3.7や3.8は、性と生殖に関するヘルスケアの利用(3.7)や基礎的なヘルスケア・サービスへのアクセス、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(3.8)など、個人の人生設計の上での家族計画に関する情報や教育を行うことや、必要なときに適切な医療にアクセスできることが目標となっている。ターゲット3.1が目の前の課題への対応策とすると、この目標はこれから先3.1や3.2の状況になる総数を減らすような取組みだと思う。個人が尊重され自由な人生設計の中で子供を産む/産まないという選択肢がない人がたくさんいる。自分の、または子供や家族の具合が悪いときにすぐに医者に診てもらえる状況にない人たちがたくさんいる。医者が処置すべきは病院に来ることのできる目の前の患者だけでなく、病院に来ることができない人たちや、その環境にある。っていう考え方でアフガニスタンで殺された中村医師は医者業をしながら水路を引き、砂漠を緑豊かな畑に変えた。FACTFULNESSの著者も同じような考えだった。アクセスとは単に道路とかインフラの話でなく、情報だったり治療にかかる値段だったりも含まれる。薬に書いてある文字が読めるかどうかって話は次の目標の話で。ちなみにFACTFULNESS、家族の共著、お父さんがメインに進めてきたけど発行直前にお亡くなりになってしまった。彼の自伝に近いタッチで読みやすく、人生に絡めて事実と認識の違いや正しく事実を捉えることの大事さがわかりやすい1冊。

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ターゲット3.bはワクチンや医薬品の研究開発への支援とそのアクセスについて言及しており、これも新型コロナウイルスのことが当てはまる。新しい生活様式による暫定対応もあるけど、ワクチン開発とか世界中が今ここに集中投資して研究を進めているところだと思う。最近日本では感染が落ち着いている(慣れてきた、飽きてきた?)と言われているが、世界的には感染者数も死者数も増加傾向にある。早期開発と同時に、それが高額で金持ちしか接種できないとかでは意味がないので、誰一人取り残さずにワクチンにたどり着けるようなレベルでの開発・普及が求められている。

3.c、3.dは3.7-8に近く、将来の健康的な生活、充実した福祉体制のための投資とも言えると思う。対象国が限定されているので日本には関係ないこと、ではなく、日本でも医療従事者は足りていないし、日本の技術力をもって対象国の人に対して訓練するということも大事な問題だと思う。医療従事者でない日本人にとっても、「健康リスクに対する早期警告、リスク緩和、リスク管理のための能力強化」は必要なことだろう。栄養バランスの整った食事やら適度な運動やら定期的な健康診断とか、当たり前のことで自分自身の管理のことでも、関係ないことではない。SDGsは「誰一人取り残さない」から。自分が健康でいることがSDGsの達成に貢献することにつながる。健康経営とか健康医療、予防医療に関するサービスはこのあたりが該当すると思う。

なんとなく似ていそうなターゲットで分類してみた。防げるレベルの目の前の課題、防げるはずの病気や事故・依存症に関する課題、直接的であり将来の不幸を減らすための課題、脅威に立ち向かう準備のための課題、になるかな。キャッチフレーズとギャップがあるように見えるけど、ターゲットを集約してフレーズを考えるとこのキャッチフレーズが秀逸なのだなと思う。

目標3について考えてみたんでした。

SDGsや10年後の世界を読み解くならコレ。みんな知ってる落合氏がわかりやすくこれから注目される領域や世界動向について解説、その中でSDGsの重要性についても触れている。挿絵とか図、表が散りばめられていて落合さんの説明も丁寧、ページ数の割に気楽に読める1冊。

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