SDGs目標のターゲットを考える SDGs.12つくる責任、つかう責任

SDGs17目標の12番目は、「つくる責任、つかう責任」。個人の消費者としての責任が問われる目標で、テレビとかメディアで良くみかける目標の一つな気がする。本文は「持続可能な生産と消費の形態を確保する」。このキャッチコピーは秀逸というか適格だなぁと思う。しかしターゲット見てくと意外と幅広い。そして、全員参加の必要性がとても感じられるターゲット群。

ターゲット12.1、12.2は、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)の実施、天然資源の持続可能な管理および効率的な利用など、最初の定義な感じで全世界の参加とまずこの天然資源をどうにかっていう目標が挙げられている。天然資源は、食料問題にもエネルギー問題にもつながり、ほかの目標との連動性がある。

12.3はいわゆるフードロスの削減。ただ削減するっていう漠然とした目標でなく、「2030年までに一人当たりの食料の廃棄を半減」と、期間と量まで言及している。ちなみに日本人の年間フードロス量は一人当たり年間5キロ、日本全体で300万トンと言われており、これは世界全体の食品排気量の1/3相当に該当する。そしてその大半が、まだ食べられる状態のもの。この廃棄されている分の量を世界に回すだけでも、とてつもない数の貧困層を救うことができるといわれている。日本人はほぼ全員、意識して即行動しないといけない問題。

12.4は化学物質やすべての廃棄物の管理の環境上適正なものにすること、化学物質や有害な廃棄物の大気、水、土壌への放出の大幅削減。天然資源を持続的に使えるようにすることと合わせて、人工的に作り出したものも含めて地球環境への影響を出さないようにというのがこの目標。原子力の取り扱いや自然には存在しえず自然環境に影響がでる化学製品などが該当しそう。

ターゲット12.5は、廃棄物の予防、削減、リサイクルおよび再利用による廃棄物の発生の大幅削減。フードロス、化学物質だけでなくそもそものゴミも減らしましょうと。日本のゴミ廃棄量もえげつない。川崎では1日数百万トンのゴミを海に埋め立て続けているし、少し前まで大量のゴミを中国やアジア圏に輸出していた。SDGsに対する海外の意識の高まりやコロナの影響もあり、今はあまり?輸出できていないが、その分日本中のゴミ一時保管所に大量のゴミが廃棄されずにたまっていてパンク寸前とのこと。これも大きい問題。個人のゴミ廃棄量も減らさないといけないし、例えば過剰包装とかもやめていかねば。

ターゲット12.6は大企業やグローバル企業に対する、持続可能性に関する情報の定期報告書への盛り込み。企業は会社としての責任を果たすだけでなく、その情報をちゃんと報告することが求められる。国連データでは、世界的に収益の大きい企業250社のうち93%が持続可能性について報告している。また、49か国の上位100社のうち3/4が報告している。この流れは今後も増加していくことが予想される。

ターゲット12.7は、持続可能な公共調達の慣行促進。これは国とか自治体とか向けなのかな。変なとことか怪しいとこから調達するんでなく、資源の調達元まで責任を持ってねということな気がする。

12.8は2030年までにすべての人が持続可能な開発および自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。物量として廃棄量を減らす取り組みだけでなく、そもそも調和した状態を意識し、正しい情報を持つという精神面?まで含めた目標。企業の適正な生産量はAIの販売予測とかで減らせるかもしれないけど、個人が無駄を出さずに買いものをしたり、廃棄せずに使い切ることは個人の意識によるものが大きい。だから全員が意識することを目標にしようということ。教育も必要そう。道徳なのか総合なのか、吸収されなければそろそろ学校教育の科目に「SDGs」とか「サステナビリティ」っていうのが登場しそう。

12.aは開発途上国に対する持続可能な消費と生産形態の促進の科学的技術的能力の強化の支援。ゴミ問題関係は先進国が圧倒的に排出しているので先進国向けの問題にとらえられそうだけど、開発途上国が将来今の先進国と同じ道を歩まないように支援しようという目標。先進国とは異なる発展の仕方を考えないといけない。

12.bは持続可能な観光業に対する持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法の開発・導入。目標11の文化遺産自然遺産の保護保全にもつながる、観光業による外貨獲得が地域の持続可能性を高める効果的な手段なんだろうな。で、持続可能な開発が観光業にどういう影響を与えているか、測定できるようにするというのがこの目標。

ターゲット12.cは、開発に関する悪影響を最小限にとどめつつの貧困層やコミュニティの保護、必要に応じた有害な慣例の廃止、化石燃料に対する非効率な補助金の合理化。開発途上国の法制度や補助金が、有害なものであったり持続しないものであったりするので制度自体を見直していこうというもの。これはもしかすると日本でも該当しそう。利権主義というかなんというか。

目標12は、個人の生活スタイルや企業の活動を含む、全世界での取り組みの本気度を試すような目標に感じる。個人の行動を結果に見えやすくすることで進捗が見えるかもしれない。自分はペリーの回に登場したプランターをコンポストにして、生ごみが相当量減った。相対的に燃えるゴミの量が減っており、ゴミの捨てる回数も減っている。課題はプラゴミ、どうにも削減しにくい。最近はレジ袋有料化によって、ゴミ袋用にビニール袋買うような本末転倒な状況になりかねないので、野菜や商品が入っていた袋をゴミ袋として代用している。袋ゴミ分は減らせているけどまだ微々たるもんなのでどうにかしたい。

都会のサラリーマン4~50代以上がよくスーツにつけてる「SDGsバッチ」。ネットで購入可能。国連の正式版は裏面に「Recycled materials」と書かれている。

\正規販売店/ 国連本部限定販売 SDGs ピンバッジ 日本未発売 UNDP 丸みタイプ 1個 バッチ 国連 おすすめ 正規品 sdgs 17 目標 公式

価格:1,150円
(2021/1/31 15:02時点)
感想(12件)

SDGs目標のターゲットを考える 8.働きがいも経済成長も

SDGs17目標の8番目、「働きがいも経済成長も」。目標1~6が「発展途上国向けイメージが強い」(過去に書いた記事のとおり、発展途上国の概念は今は適切でないんだけどアジェンダの表現がこれなので)のに対し、目標8は先進国向け目標のイメージが強い目標のひとつ。本文は、「包摂的で持続可能な経済成長およびすべての人の完全で生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」で、先進国だけでもなくやっぱりすべての人なんだなと思える。日本のIT企業が重点課題=マテリアリティとしてあげたがる目標のひとつでもある。働きがいっていう広い概念でもあるので、ターゲットも10+2個と多め。

ターゲット8.1は国ごとの基準で見ての一人当たり経済成長率の持続という、ハードル高めな目標。後発開発途上国においては年率7%っていうかなり高そうな目標。コロナの影響で達成までの道のりが遠のいてそう。

ターゲット8.2-3は、持続的な経済成長を達成するための働き方や政策促進をもとに、大企業だけでなく中小零細企業の支援を目標としている。高付加価値セクター、労働集約型セクターへ重点を置くこと、多様化や技術の向上、イノベーションの実現や雇用創出・企業・創造性・イノベーション支援や金融サービスへのアクセス改善など、具体的な課題や支援策が盛り込まれている。IT企業、金融業界が選びやすいターゲットでもある。

ターゲット8.4は「持続可能な消費と生産に関する10カ年計画枠組み」にもとづく経済成長と環境悪化の分断を図るという目標。これこそ先進国の大企業とかIT企業とかが選んでも良いんじゃないかと思う。第三次産業革命からこれまでの発展は環境を置き去りにしてきており、経済発展=自然環境悪化はセットだった。これを分断しよう、経済発展と自然環境保護を両立させようというのがこの目標。先進国主導のもとという言葉も明記されており、日本はより自分事で考える必要がある。

8.5以降、8.8までのターゲットは国・企業の経済成長や生産性からぐっと人の話に寄っている。対象は、健常者だけでなく若者、障がい者、奴隷、こども、移住者、女性、不安定な雇用状態にある労働者とまさに「すべての人」。生産的な雇用や人間らしい仕事と同一労働・同一賃金や(8.5)、就労就学職業訓練を行う人の割合増加(8.6)、強制労働根絶・奴隷制や人身売買、児童労働の禁止・撲滅(8.7)、労働者の権利保護や安全・安心な労働環境促進(8.8)と、人間らしい働きがいにつながる環境も整備していこうという目標。文章が長くて難しい表現もあるけど丁寧にみるとわかる。人身売買とか日本ではあまり関連なさそうだけど、ひとり親世帯や非正規雇用者はコロナ禍においてリストラや休業のマイナス影響をたくさんくらった、不安定な雇用状態にある労働者と言え、日本でも解決が迫られている問題である。

ターゲット8.9では持続可能な観光業促進が盛り込まれ、「雇用創出や地方の文化振興・産品販促につながる」という視点は地方創生にもつながる目標になっている。日本の地方自治体や社会企業家がターゲットとしやすい、取り組みやすい目標でないかと思う。

8.10のターゲットは金融機関の能力強化を通したすべての人への金融アクセス促進・拡大が目標となっている。フィンテックの進展によって、銀行がなく貯金の概念がない地域においてはスマートフォンをつかったモバイル金融が普及しつつある。日本においては災害時でも資産が守られ、停電時でも金融サービスにアクセスできる状況となるとまだ課題が残っている。銀行や保険など金融業界は取り組みやすい目標と思える。

8.aーbは、「貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)」の支援や「国際労働機関(ILO)」の仕事に関する世界協定の実施など、既存のフレームワーク活用をさらに進めることで、後発開発途上国や若年雇用につながる未来投資の手法が目標になっている。

目標8はジャンル分けも少し難しいけど、ひとつひとつ読んでいくとなんとなくわかってくる。日本企業は社内の経営基盤強化施策のひとつとしてこの目標を取り入れる傾向があるように思う。企業の社員の働き方改革やコロナ禍のニューノーマルと言われる施策でこの目標が取り上げられることが多い。労働組合関連や同一労働同一賃金のターゲットもあるから考えやすいのだろうな。事業としてやっている例でいうと、目標6の記事に書いたLIXILのトイレを地方で作る体制を整えることで現地に雇用を生んだりっていうのがこれに該当すると思う。自社内に閉じた目標でなく、こういう社会課題を解決しながら事業にするものをぜひ積極的に考えたい。

企業が取り組むSDGsについて実践的に考えるならコレ。ワークシートもついており自社についてあてはめて考えながら読むことができるほか、様々な企業の社会課題解決事例も豊富。

SDGsビジネス戦略 企業と社会が共発展を遂げるための指南書 [ ピーターD. ピーダーセン 竹林 征雄 ]

価格:2,420円
(2021/1/31 13:24時点)
感想(1件)