【SDGsを体感するゲーム】SDGsボードゲーム

2020年4月、Sustainable World BOARD GAMEの公認ファシリテーター認定証を取得した。

4人以上で実施するボードゲーム。SDGsの目標を達成するためのプレイヤー4種(大企業、中小零細企業、NPO、大学)に分かれ、それぞれの役割のゴールを目指しながら、日本地図を模したスゴロク風マップとSDGs17目標のスコアボードを使い、お金を使ってミッションをクリアしていくことでゲーム上の世界を持続可能な状態にするという二つのゴールを目指すゲーム。

1ターンを1年として計算し、ターンごとにプレイヤーには年間予算としてお金が与えられる。プレイヤーはそれぞれサイコロをふり、出た目の数だけ日本地図上のマップの駒を進める。駒が止まるマスの形によって、種類の異なるミッションカード、イベントカードを1枚引くことができる。

年間予算として与えられるお金には2種類(黄色、赤)ある。黄色いお金は次年度へ繰り越しできないお金、そのターン内で使い切らなければ回収されるお金。赤お金は次年度へ繰り越し可能なお金。お金の単位は黄色も赤も同じ額。

ミッションカードは経済・社会・環境の3ジャンルに分かれており、ミッションを行うかどうかは参加しているプレイヤー同士で話し合って決める。各ミッションカードにはその実行によって世界に与える影響が数値で記載されており、ミッションを実行(実行するミッションを宣言し、必要なお金を銀行へわたす)すると、記載されている数値のとおりにスコアボードのSDGs目標ごとのスコアが変動する。

イベントカードは、プレイヤー同士の意思に寄らず発生するイベント、リアル社会でもよく起きる外部影響要因が発生する。

他のボードゲームと異なり、個人間の競争はなく、自分の目標達成も目指しながらボードゲーム上の世界をゴールさせるという、協働型のゲームである点が珍しい。時間が許せば最終ゴールまで続けたいが、基本は時間を区切って途中で終了するパターンになる。ゴールを目指すゲームであるが、ゴール自体が目標というよりは、ゲームの振り返りの時間を大切にしている。なぜそのミッションを実行することにしたのか、自分が気になったミッションは何か、などゲームを通してSDGsの考え方や具体的な行動、各プレイヤーの役割について考えることが、参加者個人個人の気づきにつながる。

ゲームを制作したのは、一般社団法人未来技術推進協会。ぷよぷよの世界チャンピオンがゲーム設計を行ったとのこと。100枚以上あるミッションカードに書いてあるミッションは、実例。日本、または海外の企業が実際に行った事業や取組みがカードになっている。対象は小学生から大人まで。学校や企業研修等でも活用されているとのこと。

比較的少人数でも実施できること、子供でもわかりやすいルールであること、実例がカードになっていることで、視野が高く考え方が広くて「自分事」化しにくい人たちにもやさしいアプローチで「自分事」を考えることができるようになるゲームだと思う。

ニーズがあるところで実践したい。オンライン版もあるので、身近なところから。

ゲーム説明へたくそだった。ちゃんと整理してから書くとかしなければ。

つづく。

SDGs目標のターゲットを考える 9.産業と技術革新の基盤をつくろう

SDGsに17目標あるうち9番目は「産業と技術革新の基盤をつくろう」。いかにも先進国向けなニオイがする目標。本文は「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包括的で持続可能な産業化の促進およびイノベーションの推進を図る」。こうなると対象を明言していないことはわかる。これも、日本の大企業・IT企業・金融業界が選びたがる目標のひとつ。

9.1は、説明するよりそのままの訳を読むほうが分かりやすそう。
「すべての人が平等に安価にアクセスできることを重点においた経済発展と福祉の実現のため、信頼できる質の高い持続可能で強靭なインフラ(越境インフラを含む)を開発する。」
経済の発展と福祉を実現する持続可能なインフラ開発。これはソフトともハードとも明言されておらず、両方該当する「社会インフラ」と考えられる。ハードインフラの強靭さも重要だし、現在およびこれからの情報化社会の中ではソフト面のインフラも強靭でなければ持続しない。

ターゲット9.2は包摂的で持続可能な産業化の促進、各国の雇用とGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させるとある。ここで言っている産業セクターとは、第一次~三次産業、六次産業のどれを指しているんだろう。原文読んだほうが良いべか。。産業って、産業革命をイメージすると工業かなと思うけども。

9.3は、金融サービスやバリューチェーン、市場への統合に対するアクセス拡大が目標になっていて、金融業界よりの目標に見える。「特に」につづいて開発途上国が強調されている。マイクロサービスが成長していけるための支援をしましょうという感じか。

ターゲット9.4では、資源利用効率の向上、クリーン技術、環境配慮技術や産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善による持続可能性の向上が目標。ただ単に生産性を向上して環境に悪影響を及ぼすものはもうダメで、社会や環境を良くすることと両立するような開発をしましょうという目標。先進国が先進技術を持って取り組むことができる目標、既存のビジネスをこの方向に変えていくべきターゲットだと思う。

国連データによると、全世界の炭素強度(エネルギー消費量に対する二酸化炭素排出量)は2000年からの15年で付加価値1ドルあたり二酸化炭素換算で0.38kg→0.31kgに19%低下しているそう。トヨタとかはゼロエミッションを目標に掲げて取り組んでいる。1ドルあたり300gと考えるとなんかまだ多い気もする。単に減らすことを努力してもゼロにはならないので、「減らす」を目標にするのではなく「0にする」を目標にすることで、イノベーションが生まれる。

ターゲット9.5はすべての国の産業セクターにおける科学研究の促進によって技術能力を向上させることが挙げられている。先端技術や知識を備えて応用できる研究者・開発者・技術者が多いほど、生まれるイノベーションも多くなるでしょうということか。こういった人材はすぐに育てられるものでないので、企業にとっては長期間にわたる投資の覚悟が必要になると思う。

9.a、9.b、9.cのターゲットはいわゆる途上国向けに、金融・テクノロジー・技術の支援強化を行い、その持続可能で強靭なインフラ開発を促進すること、それらの国の国内技術開発、研究およびイノベーションを支援すること、情報通信技術へのアクセス向上が目標。これらの途上国を支援するのは誰か?先進国でしょうね。日本も、グローバル展開してなかろうとも意識したら良いとこでないかと思う。顧客が日本国内に閉じてても、オフショアなんかしていれば立派な当事者。

ターゲットまで見ていくと、先進国はイノベーション力があるんだからそれを活用して社会にも環境にも配慮したより強靭なインフラの基盤をつくりましょ、それを自国のためだけに使うんでなく途上国の力を伸ばすとこにも活用しましょっていうことが書いてある。目標9でも、LIXILのトイレの件は大きく貢献している。これからの「支援」は、ただ寄付するとかあげるだけでなく売るだけでもなく、現地に雇用と生産体制をつくって地産地消できるサイクル・ノウハウや知識を提供するところにある。お金の寄付は政府が腐敗しているので市民に届かない、だから服などの現物支給のほうが良いという話も聞いたことがある。現物支給も一時しのぎにはなるけど根本解決にはならないので、支給するならミシンと布をっていう話も聞いたことがある。豊かな人のいらないものを貧しいひとに与えるという支援は、もしかしたらなくなってくるのかもしれない。

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