インサイドアウトからアウトサイドインへ

2019年、シブヤ大学が開催したSDGsをテーマにした講座で紹介された言葉シリーズ。「SDGsは世界共通言語、新しい問題解決思考」と。その中のひとつが、「インサイドアウトからアウトサイドインへ」という変化。

インサイドアウトは、別な表現でいうとプロダクトアウトとか。自分が持っている資源で何ができるか?という思考。それに対して、アウトサイドインは外側=顧客の外側=社会が求めていることに対して自分が持っている資源をどう活用するかという視点。

これまでの問題解決思考はインサイドアウトだった。自社の製品・サービスをもって、ブルーオーシャンに投入するとか、新しく市場をつくるっていう感覚かなぁ。拡大志向、社会の右肩上がりを想定した考え方ともいえるかもしれない。

でも、今の世の中、本当に真新しいものっていうのはそんな数多く誕生させられるものではない。日本においては、大概のものはお金を払えば手に入るし、大概のものには大概複数種類の選択肢がある。モノとかサービスが飽和している状態で、爆発的な情報量が毎日生まれ続けている。通り一遍な情報発信をしていても、狙ったターゲットにはまず刺さらない。ターゲットを絞らず「すべての人」を対象にするとよりいっそうどこにも刺さらないくらい。今は、消費者が情報を取捨選択して、自分が選択したものに対価を払う時代。

プロダクトアウトに対してマーケットインという考え方もある。マーケット=顧客市場が求めているものを知り(マーケティング?)、自社製品・サービスをどう作って展開していくか。対象とする顧客が具体化していればいるほど、ポイントを訴求できる。独りよがりな製品やサービスをつくって売れない、ていう可能性が低くなる。

この概念の延長がアウトサイドインかなぁと思う。顧客のニーズを読み取って製品・サービスに活かすところからもっと視野を広げて、社会が何を求めているか、社会が解決を望んでいる課題は何かを考え、社会課題から事業を考える思考法。社会課題は単一的な原因てことはまずなくて、巨大で複雑。基本的に自社だけでは解決できないようなレベルの課題が多いし、自社の製品・サービスでは不十分ということもザラにある。課題と、自分ができることの間にギャップがある状態。このギャップを埋めて解決に向かう手法がイノベーションだったり、外部組織とのパートナーシップだったりする。

これからの仕事は、いかに社会課題を定義して、その解決に必要な資源を集めて、チームでその課題に立ち向かうか。いかに事業として持続的に社会の課題を解決しながら自社も成長していけるか。が問われる時代になるのかなと。シブヤ大学の資料と、先日のSDGsアウトサイドインカードゲームのインプットからのアウトプット。上手にまとめられる文才がほしい。

つづく。

【SDGsを体感するゲーム】SDGs アウトサイドインカードゲーム

SDGsを、ゲームを通じて体験するカードゲーム代表三種。「2030カードゲーム」「SDGs de 地方創生カードゲーム」もうひとつが「SDGsアウトサイドインカードゲーム」。対面で行うカードゲームが基本だけど、オンライン実装の先駆けでもある。2020年9月、オンラインで体験した。

運営は仙台にある株式会社オークジャパンと、株式会社Project Design。ゲーム開発にプロジェクトデザインが絡んでいるところは2030と地方創生と同じ。導入説明のパワポもちょい似てるとこがある。ゲーム自体はサイトがあり、オンラインで体験する場合はzoomとセットで駆使する感じ。チームで活動するときの打ち合わせはzoomで、ゲーム画面と切り替えながら(というかzoomは画面小さくして)進める感じ。

2030がSDGsの本質理解、抽象的な内容で小学生から体験できる、地方創生が問題理解、具体的な内容で中学生から体験できるのに対し、SDGsアウトサイドインは企業向け、CSV捉えなおしや新規事業開発、組織開発への活用を目的とするもう少し大人向けの内容な気がした。いやただ単にゲームとして楽しむなら対象年齢下げられるんだろうけども。目的が違うからなー。

とてもざっくり言うと、自分がプレイヤーカード(SDGs目標1~16に沿った価値観のカード)を選択し、自分のチーム=企業を決め、その企業が持つカード(社会課題カード、アセット(自社の強み)カード、リソース(自社の資源)カードがそれぞれ複数枚)と資金(最初は15億)をもとにアセットカードとリソースカードを組み合わせて資金をかけて事業開発。事業はうまくいく場合と失敗する場合がある。失敗したら別の組み合わせで再挑戦。うまくいった場合は資金が得られ、新規事業カードが与えられる。新規事業カードは、自社が持つ別のカード(プロモーションカード)を使って事業拡大を行う。ほしいカードが手元にない場合、他チーム(他の企業)との交渉は自由。前半と後半の2回ゲームを繰り返し、最終的に持っている資金と開発した事業数を競う、というもの。

今日のは途中ゲームシステムに不具合が発生し、前半後半でなく後半がリセットされた状態からのスタートとなったりいろいろあったが、良い感じに練習になった前半のおかげで後半は要領をつかめてゲームを進められた気がする。しかしこのゲームも、ひとつひとつ現実世界のシミュレーションになる。ゲーム中は事業開発をインサイドアウト思考、事業拡大をアウトサイドイン思考で進めてた気がするけど、社会課題を起点に事業開発ってのはほとんど考えられてなかった。カードを読み込んでたら何か変わったんだろうか。

しかしオンライン、だいぶ通信環境良くないと難しいかも。

2020年9月末、このゲームのファシリテーター資格も取得した。ファシリテーターオタクみたいになってきたな。公開して良いもんだったら、それぞれのゲームのカード内容についても深めたい。

つづく。