会社がSDGsに取り組むとき

企業がSDGsに取り組むべき理由。国連や各国政府の力だけでは解決できない問題を、民間企業の力を使って解決に近づけることができるから。

企業がSDGsに取り組むメリット。企業価値向上、事業機会増加、レピュテーション向上、事業リスク低下、ESG投資家からの投資を得やすくなる、顧客への付加価値提供、社員のモチベーション向上、目指すべき方向の明確化、高い視座を身につけることによる未来を考える社員育成、社会貢献の意識が高い学生や中途社員の採用に有利。などなど。

企業がSDGsに取り組むデメリット。上記の反対。

最近はテレビCMでも「サステナビリティ」「持続可能」「未来への約束」「SDGs」を発信する企業が増えてきた。企業のコーポレートサイトでも取り組みを発信している企業は大分多い。

その取り組み内容は、パフォーマンスから本気中の本気のところまで、グラデーション的にさまざま。専門家が見ると、パフォーマンス(SDGsを糊付けしただけ)か、本気の取り組みかはすぐに見分けがつくらしい。

SDGsをビジネスに組み込んで取り組むにはいくつか方法がある。SDGsCompassが代表的な5ステップで示している。これについては別記事で。ほかに、『SDGsビジネス戦略』という本もあるし、探せばいくらでも出てくる。

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簡単に言えばPDCAサイクルに似ているが、普通のPDCAとSDGsのステップで大きく異なるのは、SDGsCompassでいうステップ5「報告とコミュニケーション」で、企業が外部ステークホルダーに対して報告とコミュニケーションを行うことが組み込まれている点。自社に閉じた活動では不十分。

そして、これがあるからこそ、それぞれのステップに「責任」が発生する。なぜその活動なのか、なぜその目標なのか、なぜその課題なのか、ひとつひとつのステップを逆行していってもしっかり語れる必要がある。それができないと「パフォーマンスだけ」とみなされかねない。SDGsウォッシュ。

簡単な作業ではないから、正直、本気で取り組む意思がない状態、経営層の意識が醸成されていない状態での取り組みはオススメできない。生半可な覚悟で手を出すくらいなら、まだ組み込みませんという意志をあらわすほうがウォッシュの被害=企業がSDGsに取り組まないデメリットをみすみすこうむらずに済む。

ただ、世界の共通目標に向けて、地球上に暮らす全世界の人々が取り組むべきと言われているものであることも事実。「取り組まない」と明言する選択肢ができるのも、ここ数年のうちな気がする。

だとすると、中小零細企業とか、意識はあってもすぐには取り組めないよ、取り組みたくても余裕がないよ、どうすれば良いのかわからないよっていう人たちのためのSDGs経営ツールというか、簡単に導入できるような仕組みはこれからニーズがあるかもしれない。

「なんとかしなければならない」という意識を持っている人に対する価値は与えられるかもしれない。

SDGsコンサルタント」って職業、できるんだろうか。

つづく。

言葉の定義

言葉の定義は、ときには会話の前提でやっておかないとエライ目に合うこともある。

たとえば、「普通」。「普通だったらこうでしょ」「普通やるでしょ」日本人が大好きでよく言う言葉だと思う。でもこの「普通」は、個人の生きてきた人生観・価値観で大いに変わる。ジェネレーションギャップとかカルチャーショックと一緒、時代や土地によってぜんぜん異なる。その差は「普通」ではなく「文化」。「普通、(だから自分の考えは正しい)」とか「普通(はこうだから、お前が言ってることはおかしい」っていう会話は、まず前提を整理してからでないと、同じ言葉を使って違う会話をしててぜんぜん噛み合わない、てことが大いにありうる。

割と大手の新卒採用選考で一次選考でありがちなグループワークでは、書記役は通過の鉄板だってコツを聞いてよく買って出てたのを思い出す。初対面で会う学生同士、「進行≒リーダー≒発表者」「書記」「その他」が大きく分かれる役割。積極性評価という点ではリーダーが評価高そうだし、実際多少の加点はあると思う。書記は、メンバーの話をまとめながら書くことで、発表者に発表内容を誘導できる、実質裏リーダーというかそのグループワークを仕切ることができる。整理しながら書くのもコツがいるけど、そのひとつが言葉の定義。メンバーのバラバラな意識を、定義によって絞り込むことで凝縮したディスカッションをすることができる。

就職後の業務の中で言葉の定義を合わせる作業・機会がないなと感じる。そのために、同じプロジェクトをしていても噛み合わなくてうまくいかないこともある気がする。うまくいかないことの要因は一つとは限らず、それぞれが独立しているということも滅多にないから言葉の定義の問題だけとは言えないけども。ただ、職場では結構ないがしろにされる工程な気もする。「この部署はこれが普通だ」と言われ、議論の前に教えられる。作業ベースの新人なら理解するだけかもしれないけど、考えて決めることが仕事になってくると、少なからず業務に支障をきたすようになると思う。どうにかならんもんか。

「大きい」「小さい」の感覚の違い、「早い」「遅い」の感覚の違い、「ちょっと」の量、「普通」「一般的には」の定義、「豊かさ」「幸せ」の定義、「まち」の定義、「地域」と「地方」の違い、「みんな」の定義、「男」と「女」の境目。

学習指導要領にわざわざ解説本があるように、解釈・定義を説明する行為は必要だと思う。SDGsが書いてある「持続可能な開発のための2030アジェンダ」もそう。劇的な文章だけど、難しい表現も多い。日本語訳の代表的なものもあるけど、部分部分はふさわしくない表現もあるように思う。「女性および女児の「エンパワーメント」が「能力強化」とか。

定義をディスカッションするだけでも時間がかかる。でも時間かけずに分かり合うっていうのも結構無理がある話。

間違っちゃいけないのは、「平等」と「公平」は違うし、それは「普通」でもないこと。

仕事の中でも「定義」は大事にしたい。

言葉の定義が合わない、話がかみ合わなくてモヤモヤする、人間関係に困っているならコレ。漫画で読みやすい。共感できること多数。

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まちに暮らす人がそのまちを好きな状態をつくる

自分がやりたい「地域活性化」を一言でいうと「まちに暮らす人がそのまちを好きな状態をつくる」。そのまちが好きでそこに住んでいる人は、自分のまちに誇りと愛着があり、自分の行動でまちに良い影響を与えたい(悪い影響を与えたくない)と思うのではないか。そう考えるひとが増えれば、来訪者に対するおもてなしの対応も自発的に、丁寧になるのではないか。そんなおもてなしを受けた来訪者はそのまちを心地よい場所と思ってくれるのではないか。そんな来訪者が増えたら、より一層経済も活性し、まちに暮らす人の生活に還元され、それがまちへの誇りと愛着をより深めることにつながるのではないか。という仮説。

自分の地元の場合、高校で進学校に行った人は大学へ進学し、東京へ就職、そのまま戻ることがないという典型的地方から若者が出ていくパターン。高校で私立や商業・工業などの専科高校へ行った人はそのまま地元就職というパターンが多い。もちろん大学卒業後地元就職する人もいるし、専科高校で地元外に就職する人もいるが、多数はこの2パターンでないかと思う。進学後そのまま戻らないパターンは、地元に求める就職先がない、とにかく地元を出たい、等の理由か。専科高校から就職するパターンは、(本当は地元を離れたいが、)他に行く場所がないから仕方なく、という理由を耳にした。

20歳(今は18歳)を過ぎれば選挙権が得られる。自分たちが理想とするまちに変えるという行動を、気持ち次第で実現できる年齢。自分が暮らすまちに対して不満を持ちながら暮らすのはもったいないと思う。

ひとによって「幸せ」の定義はバラバラだし、理想のまちのありかたもバラバラなのは当然。それでも共通項は見いだせると思う。たとえば、政策創造塾とパイプドビッツが行った全国2万人を対象にした「幸福度調査」によると、社会参加に自分が関わるほど、その人の幸福度があがるということが統計結果から明らかになっている。深さや密度の差はあっても、人や社会とつながることは、人の幸福度に大きく影響する。

個人とまちとのつながり方にはグラデーションがあって良い。それぞれの濃度に合わせて社会・まちとつながれる環境を用意することが必要だと考える。そんな環境・プラットフォームづくりをしたい。地域活性化の意識の高い人たちだけが盛り上がっているような状況、観光地だけがうれしい状況はちょっと違うんじゃないかなと。全員が積極的にまちづくりに参加することを強制するわけでもなく、それぞれの意識の差によって柔軟に社会とのかかわり方を変えることができるような環境を全国各地の地域につくりたい。つながりたいときにつながれる、つながりたくないときは距離が置ける、ゆるい関係が良いなぁと思う。

まちに暮らす人が、そのまちを好きになる状態をつくる。もっと端的に言いたい。

つづく。

サステナビリティ経営とSDGs経営

SDGsを理解し、企業経営に組み込む「SDGs経営」。SDGsが採択される前から潮流はあったので、その当時から取り組んでいた企業は「サステナビリティ経営」と表現したりしている。SDGs=持続可能な開発目標」は2030年に向けた野心的な目標なので、「10年後に達成するために会社やってんじゃないわ」っていう企業はサステナビリティという言葉を使うことが多いように思う。個人的には、2028年ぐらいに「SDGs経営」を言い出すのは遅すぎると思うけど、今なら「SDGs経営」って言っても良いんでは?と思う。日本企業がいつからかなぜか3~5年の「中期経営計画を立てるのが常識」みたいな文化ができて、5年以上の計画を立てている企業がほとんどない中に置いては2030年に向けた目標というだけでも、今から10年先。立派な長期ビジョンができる。

自分の中での整理
【サステナビリティ経営】
事業活動(売上をあげる本業)を通じた社会課題解決。SDGsを取り入れ、具体的な製品・サービスが具体的なSDGsターゲットにどう貢献するかを示し、事業KPIとともに社会KPIを設定し事業活動の社会へのプラスインパクト・社会的意義を数値化・視える化する。企業活動(CS部門、管理部門)はESG経営の指標を取り入れ、活動を「環境」「社会」「ガバナンス」に分類してそれぞれどう責任を果たすか、マイナスインパクトをどう減らすかを数値化・視える化する。プラスマイナス含めたこれら活動の数値化・視える化は、第三者評価を使ったりTCFDやらGRIやらSASBやらISO26000やらいろんな国際的基準に照らして報告している。この非財務情報と財務情報を合わせて「サステナビリティレポート」「統合報告書」とかの名前で年イチ発行したり。10年以上(2030年以降)先のビジョンを示している場合に効果を発揮すると思われる。

【SDGs経営】
事業活動の表現はサステナビリティ経営と基本的に一緒。企業活動の内容にもSDGsの目標・ターゲットを絡めて数値化・視える化する。ただ、この表現の分類をしれっとESGに合わせることはできて、SDGsだけ見てるわけじゃないですよアピールはできるかも?評価の仕方や報告書もサステナビリティと近いけど、その表現分類の中ではあくまでSDGsに触れる。時間制限があるとはいえ2030年までの経営方針としては抜群の具体性を訴えられる。今からであれば10年先というのは長期ビジョンにも足る。企業理念やら社是やらを変えずに、現経営者で進めるにちょうど良いスパンとも思える。

どっちが良い悪いはない話だと思う。考え方の違いだし、どちらにせよ経営の強い意志がなければ社内に浸透しないし変わらないし、これまでの経営方針が売り上げ重視だとかのびのび成長を志向していたところから転換する状況だとするとより一層、強い意志とビジョンの提示と頻繁な説明がなければ実現しえない。ビジネスマンの中でも「SDGs」自体、いまだに知らない人も大多数いる。

でも、時代は?世界は?ちょっとずつ変わってる。今まで「先進国」「発展途上国」と分けていた分類は、今は何でどう分類すれば良いのかわからない状況。アフリカやインドなどの砂漠地帯にも携帯は普及している。スマホは先進国だけの持ち物ではない。日本の小中学校の指導要領に「SDGs」が盛り込まれている。高校では専門文科ができる。大学でもすでに教えているし、子供~大学生の、これからの社会を担う若者世代がすでにSDGsネイティブとして活動している。

取り入れるのも意志、取り入れないのも意志、ただ時代は進んでる。

取り入れないのは意志なんだけど、ゆるやかな自殺なんだろうなと思われる。今の生活の延長上に、豊かな未来はないと。個人の価値観とか人生観については今回触れないけども、企業が存続する上ではここは議論して自社の方向性、方針を決めておくほうが良いんじゃないかなぁと思う。たとえばコーポレートサイトでなんもサステナビリティやらSDGsやらに触れてないのは、実際内部では活動してたり、どれだけ良い活動してても、他の人から見ると「知らない」「やってない」「考えてない」ととらえられる。企業に寄らないか、法人ならそうかも。

これも図示がいるなぁ

フューチャーランナーズ

2020年10月頃から見つけた、毎週水曜夜のフジテレビ、番組のつなぎの5分に「フューチャーランナーズ」てミニ番組。自分が(あんまりテレビ見ないけど)見てるテレビ番組上で知ってる限り、SDGsをテーマにした番組はこれが初な気がする。番組内でテーマとして取り上げたりCMで流れてたりはよく見るようになったけど。

「フューチャーランナーズ」は、MS&ADが提供してる、SDGsにいち早く取り組んでいるトップランナーを1分少々くらいで取り上げている番組。毎回17目標にかかわりのある人を取り上げ、SDGs目標とともにその活動を紹介している。最近だと服とか布の大量廃棄問題からファッションブランドを立ち上げた青年(目標12「つくる責任 つかう責任」目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連)とか、ダイアローグ・ジャパン・ソサエティの方(目標4「質の高い教育をみんなに」目標10「人や国の不平等をなくそう」目標11「住み続けられるまちづくりを」に関連)とか。

このダイアローグ・ジャパン・ソサエティの活動は初めて2030カードゲームを体験したときに紹介されていて衝撃的で覚えてたので、番組見たときにあーーーこれかってなった。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」っていうワークショップ?で、視覚障がい者のガイドで健常者が暗闇の中障害物を避けながら歩いたりなんだりするっていうもの。対等な立場での対話が生まれるとのこと。
まだ体験したことないからやってみたい。

ほかにもいろんな切り口でいろんな人を取り上げてる。でおそらくはその取り上げられてる人たちは、SDGsができてから活動を開始したわけじゃなく、もともと活動してた。それまでは「慈善事業」「NPO」「収益が見込めないもの」の扱いだったそれらの活動にこれまでとは異なる光の当て方をしているのがSDGs。それまでの活動が再評価されるきっかけになっていてMS&ADは改めて違う視点から光を当てるってことをしてる。

MS&ADのCMも「未来は明るいとは限らない」から始まってちょっとドキッとさせる。いろんな社会課題を並べて不安煽りながら、場面変えて「未来を予測して課題を解決していく保険の力が必要」つってキャッチコピーの「さぁ、いい方の未来へ」って流れ。よく作られてるなぁと思う。保険業務の、持続可能な社会との関連もうまく考えられてると思う。うすっぺらいって言われそうだけどこういうのは好きだなぁ。

さて自社はっていうとこれが難しいんだけど、最近大枠がつかめつつある気がする。
プレゼン力にかかってきそうなところが気が重いけども。
つづく。

フューチャーランナーズ 毎週水曜22時54分~ フジテレビ