SDGs目標のターゲットを考える 7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

SDGs17目標の7番目は「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」。正式には、「すべての人の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」。化石燃料エネルギーでなく、安全で持続的に使うことのできる再生可能エネルギーを安価に提供してみんなで効率よく使いましょうっていう目標。

国連データでは、2000年から2016年までに、世界の電器にアクセスできる人の割合は78%→87%に増加している。電気がない生活をしている人の数は10億人を下回り、改善が進んでいる。

ターゲット7.1は、2030年までに、安価かつ信頼できる近代的なエネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保することがあげられ、ほぼ本文と同じ目標になっている。近代エネルギーとは化石燃料に頼らない再生可能エネルギーを指している。太陽光、風力、地熱、バイオマス、波力など現在さまざまな再生可能エネルギーの研究と普及が進んでいる。2016年時点のデータでは、世界の4割を占める30億人が、大気汚染につながる燃料やストーブを使って調理しており、課題になっている。原子力発電はCO2を出さないという点ではクリーンだけど、3.11の福島原発事故やその他原発関連の事故を見ると、その排水処理や使用済み核燃料の処分は持続可能でないことが分かったと思う。「信頼できる」エネルギーとは、大気汚染だけでなく人体への安全という意味も含まれている。有名な事例はパナソニックの「ソーラーランタン10万台プロジェクト」とか。

ターゲット2はエネルギーミックスによる再生可能エネルギーの割合の大幅拡大。上述した様々なエネルギーを組み合わせていこうという目標。ちなみに日本でも太陽光パネルの普及が進んでいるけど、まだ火力発電が占める割合が多く、少し前のニュースでは火力発電所に出資しているメガバンクが世界のメガバンクから叩かれ、出資を抑えられることがニュースになった。ESG投資のネガティブスクリーニング(ESGに悪影響を与える企業に投資をしない行動)の結果。

ターゲット7.3はエネルギー効率の改善率の倍増を目標としている。これは少しイメージが湧きづらいけど、最小資源で最大のエネルギーを出せるような感じかなぁ。効率が良くなれば、単位当たりのエネルギー費用が下がるので、安価に普遍的にアクセスできるようになるということだと思う。太陽光とか風力とか、再生可能エネルギーのエネルギー変換率はあまり良くないと聞いたことがあるのでこれをイノベーションで改善させようということか。

7.aは、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資促進、7.bではすべての人に近代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるようなインフラ拡大と技術向上があげられ、ともに持続可能なエネルギー提供の仕組みづくりについての未来投資が目標になっている。

目標7は他の目標に比べて少なめなターゲット数だけど、世界中の人へのアクセスを達成するには大規模なイノベーションや施策が必要になる。個人でできることでいうと、まずは使いすぎないこと、あとは電力自由化になっているので、再生可能エネルギーの売電をしている事業者に電気代支払先を変えるのもひとつの手段。ESG評価のポジティブ面(ESGに貢献している事業者への投資)とネガティブ面(ESGに悪影響を与える企業への支払い拒否)で個人の意思を示すことができる。

日本はエネルギーを安価に安全に使っており生活を送るうえで大きな問題はないが、上述したようにその生産方法は化石燃料に頼る部分が多く、課題である。また、災害時の脆弱性は水と同じく、毎年台風や豪雨で多くの地域が停電被害にあっていることも課題である。安価で信頼のできる近代的エネルギーに普遍的にアクセスできるというのはとてもレベルが高いことなんだなぁと思う。

SDGsを地域にどう活用するか、地域活性化の視点で考えるならこの1冊。再生可能エネルギー、バイオマスとか太陽光、風力など地方独自のエネルギー施策も。

SDGsの実践 自治体・地域活性化編 持続可能な地域社会の実現に向けて [ 村上周三 ]

価格:1,980円
(2021/1/31 12:43時点)
感想(0件)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です