【SDGsを体感するゲーム】2030SDGsカードゲーム

2020年4月、2030SDGsカードゲームの公認ファシリテーター認定講座を受けた。

2030SDGsカードゲームは、2030年までにSDGsの17目標を達成するシミュレーションゲーム。プレイヤーカード、お金カード、時間カード、プロジェクトカードがある。プレイヤーカードは5種類あり、プレイヤーはお金と時間を使ってプロジェクトを達成することで、自分の目標の達成を目指す。

世界で200万人以上が体験しており、「ゲームを通してSDGsについて知る」系ゲームで一番メジャーといえる。主催はイマココラボ

最初にゲームを体験したときは、30人弱の参加者、二人1組の計15チームで実施。見事全チーム目標達成、スコアも良い結果に終わった。ゲーム時間が意外と短い、振り返りの時間が多いなという印象。あとは、世界にマイナス影響を与えそうなプロジェクトが実行されてしまったことについて、世界は持続可能になってもその世界のどこかでマイナスな状況が続いているのは果たして良いのか?という疑問・モヤモヤが残った。

公認ファシリテーター認定講座は、コロナ影響によりオンラインで3日間実施。「やり方」と「あり方」を意識し続ける講座、「やり方」はお手本動画を中心に反復練習して習得、「あり方」はカードゲームでより多くの参加者により気づきを与えるためのファシリテーターのあり方について、内省するような、自分の無意識に気づくような講座が多かった。

ファシリテーションとティーチングの違いを意識してゲームの場を設計することが求められる。

自分が参加者の立場でモヤモヤしたのはこのためか。

まだ実践できていないが、この中立性を意識しながら開催したい。置賜エリアでやりたいなぁ。関東は緊急事態宣言下だし、人を集めづらい。
オンライン版も作成中とのこと、ビビらずに自主的にできるようになりたい。

2030カードゲームは情報が多いので、ゆっくり更新。

つづく。

【SDGsを体感するゲーム】SDGsボードゲーム

2020年4月、Sustainable World BOARD GAMEの公認ファシリテーター認定証を取得した。

4人以上で実施するボードゲーム。SDGsの目標を達成するためのプレイヤー4種(大企業、中小零細企業、NPO、大学)に分かれ、それぞれの役割のゴールを目指しながら、日本地図を模したスゴロク風マップとSDGs17目標のスコアボードを使い、お金を使ってミッションをクリアしていくことでゲーム上の世界を持続可能な状態にするという二つのゴールを目指すゲーム。

1ターンを1年として計算し、ターンごとにプレイヤーには年間予算としてお金が与えられる。プレイヤーはそれぞれサイコロをふり、出た目の数だけ日本地図上のマップの駒を進める。駒が止まるマスの形によって、種類の異なるミッションカード、イベントカードを1枚引くことができる。

年間予算として与えられるお金には2種類(黄色、赤)ある。黄色いお金は次年度へ繰り越しできないお金、そのターン内で使い切らなければ回収されるお金。赤お金は次年度へ繰り越し可能なお金。お金の単位は黄色も赤も同じ額。

ミッションカードは経済・社会・環境の3ジャンルに分かれており、ミッションを行うかどうかは参加しているプレイヤー同士で話し合って決める。各ミッションカードにはその実行によって世界に与える影響が数値で記載されており、ミッションを実行(実行するミッションを宣言し、必要なお金を銀行へわたす)すると、記載されている数値のとおりにスコアボードのSDGs目標ごとのスコアが変動する。

イベントカードは、プレイヤー同士の意思に寄らず発生するイベント、リアル社会でもよく起きる外部影響要因が発生する。

他のボードゲームと異なり、個人間の競争はなく、自分の目標達成も目指しながらボードゲーム上の世界をゴールさせるという、協働型のゲームである点が珍しい。時間が許せば最終ゴールまで続けたいが、基本は時間を区切って途中で終了するパターンになる。ゴールを目指すゲームであるが、ゴール自体が目標というよりは、ゲームの振り返りの時間を大切にしている。なぜそのミッションを実行することにしたのか、自分が気になったミッションは何か、などゲームを通してSDGsの考え方や具体的な行動、各プレイヤーの役割について考えることが、参加者個人個人の気づきにつながる。

ゲームを制作したのは、一般社団法人未来技術推進協会。ぷよぷよの世界チャンピオンがゲーム設計を行ったとのこと。100枚以上あるミッションカードに書いてあるミッションは、実例。日本、または海外の企業が実際に行った事業や取組みがカードになっている。対象は小学生から大人まで。学校や企業研修等でも活用されているとのこと。

比較的少人数でも実施できること、子供でもわかりやすいルールであること、実例がカードになっていることで、視野が高く考え方が広くて「自分事」化しにくい人たちにもやさしいアプローチで「自分事」を考えることができるようになるゲームだと思う。

ニーズがあるところで実践したい。オンライン版もあるので、身近なところから。

ゲーム説明へたくそだった。ちゃんと整理してから書くとかしなければ。

つづく。

会社がSDGsに取り組むとき

企業がSDGsに取り組むべき理由。国連や各国政府の力だけでは解決できない問題を、民間企業の力を使って解決に近づけることができるから。

企業がSDGsに取り組むメリット。企業価値向上、事業機会増加、レピュテーション向上、事業リスク低下、ESG投資家からの投資を得やすくなる、顧客への付加価値提供、社員のモチベーション向上、目指すべき方向の明確化、高い視座を身につけることによる未来を考える社員育成、社会貢献の意識が高い学生や中途社員の採用に有利。などなど。

企業がSDGsに取り組むデメリット。上記の反対。

最近はテレビCMでも「サステナビリティ」「持続可能」「未来への約束」「SDGs」を発信する企業が増えてきた。企業のコーポレートサイトでも取り組みを発信している企業は大分多い。

その取り組み内容は、パフォーマンスから本気中の本気のところまで、グラデーション的にさまざま。専門家が見ると、パフォーマンス(SDGsを糊付けしただけ)か、本気の取り組みかはすぐに見分けがつくらしい。

SDGsをビジネスに組み込んで取り組むにはいくつか方法がある。SDGsCompassが代表的な5ステップで示している。これについては別記事で。ほかに、『SDGsビジネス戦略』という本もあるし、探せばいくらでも出てくる。

SDGsビジネス戦略 企業と社会が共発展を遂げるための指南書 [ ピーターD. ピーダーセン 竹林 征雄 ]

価格:2,420円
(2021/2/5 23:30時点)
感想(1件)

簡単に言えばPDCAサイクルに似ているが、普通のPDCAとSDGsのステップで大きく異なるのは、SDGsCompassでいうステップ5「報告とコミュニケーション」で、企業が外部ステークホルダーに対して報告とコミュニケーションを行うことが組み込まれている点。自社に閉じた活動では不十分。

そして、これがあるからこそ、それぞれのステップに「責任」が発生する。なぜその活動なのか、なぜその目標なのか、なぜその課題なのか、ひとつひとつのステップを逆行していってもしっかり語れる必要がある。それができないと「パフォーマンスだけ」とみなされかねない。SDGsウォッシュ。

簡単な作業ではないから、正直、本気で取り組む意思がない状態、経営層の意識が醸成されていない状態での取り組みはオススメできない。生半可な覚悟で手を出すくらいなら、まだ組み込みませんという意志をあらわすほうがウォッシュの被害=企業がSDGsに取り組まないデメリットをみすみすこうむらずに済む。

ただ、世界の共通目標に向けて、地球上に暮らす全世界の人々が取り組むべきと言われているものであることも事実。「取り組まない」と明言する選択肢ができるのも、ここ数年のうちな気がする。

だとすると、中小零細企業とか、意識はあってもすぐには取り組めないよ、取り組みたくても余裕がないよ、どうすれば良いのかわからないよっていう人たちのためのSDGs経営ツールというか、簡単に導入できるような仕組みはこれからニーズがあるかもしれない。

「なんとかしなければならない」という意識を持っている人に対する価値は与えられるかもしれない。

SDGsコンサルタント」って職業、できるんだろうか。

つづく。

言葉の定義

言葉の定義は、ときには会話の前提でやっておかないとエライ目に合うこともある。

たとえば、「普通」。「普通だったらこうでしょ」「普通やるでしょ」日本人が大好きでよく言う言葉だと思う。でもこの「普通」は、個人の生きてきた人生観・価値観で大いに変わる。ジェネレーションギャップとかカルチャーショックと一緒、時代や土地によってぜんぜん異なる。その差は「普通」ではなく「文化」。「普通、(だから自分の考えは正しい)」とか「普通(はこうだから、お前が言ってることはおかしい」っていう会話は、まず前提を整理してからでないと、同じ言葉を使って違う会話をしててぜんぜん噛み合わない、てことが大いにありうる。

割と大手の新卒採用選考で一次選考でありがちなグループワークでは、書記役は通過の鉄板だってコツを聞いてよく買って出てたのを思い出す。初対面で会う学生同士、「進行≒リーダー≒発表者」「書記」「その他」が大きく分かれる役割。積極性評価という点ではリーダーが評価高そうだし、実際多少の加点はあると思う。書記は、メンバーの話をまとめながら書くことで、発表者に発表内容を誘導できる、実質裏リーダーというかそのグループワークを仕切ることができる。整理しながら書くのもコツがいるけど、そのひとつが言葉の定義。メンバーのバラバラな意識を、定義によって絞り込むことで凝縮したディスカッションをすることができる。

就職後の業務の中で言葉の定義を合わせる作業・機会がないなと感じる。そのために、同じプロジェクトをしていても噛み合わなくてうまくいかないこともある気がする。うまくいかないことの要因は一つとは限らず、それぞれが独立しているということも滅多にないから言葉の定義の問題だけとは言えないけども。ただ、職場では結構ないがしろにされる工程な気もする。「この部署はこれが普通だ」と言われ、議論の前に教えられる。作業ベースの新人なら理解するだけかもしれないけど、考えて決めることが仕事になってくると、少なからず業務に支障をきたすようになると思う。どうにかならんもんか。

「大きい」「小さい」の感覚の違い、「早い」「遅い」の感覚の違い、「ちょっと」の量、「普通」「一般的には」の定義、「豊かさ」「幸せ」の定義、「まち」の定義、「地域」と「地方」の違い、「みんな」の定義、「男」と「女」の境目。

学習指導要領にわざわざ解説本があるように、解釈・定義を説明する行為は必要だと思う。SDGsが書いてある「持続可能な開発のための2030アジェンダ」もそう。劇的な文章だけど、難しい表現も多い。日本語訳の代表的なものもあるけど、部分部分はふさわしくない表現もあるように思う。「女性および女児の「エンパワーメント」が「能力強化」とか。

定義をディスカッションするだけでも時間がかかる。でも時間かけずに分かり合うっていうのも結構無理がある話。

間違っちゃいけないのは、「平等」と「公平」は違うし、それは「普通」でもないこと。

仕事の中でも「定義」は大事にしたい。

言葉の定義が合わない、話がかみ合わなくてモヤモヤする、人間関係に困っているならコレ。漫画で読みやすい。共感できること多数。

人は他人 異なる思考を楽しむ工夫 [ さわぐち けいすけ ]

価格:1,100円
(2021/2/4 21:02時点)
感想(1件)

サステナビリティ経営とSDGs経営

SDGsを理解し、企業経営に組み込む「SDGs経営」。SDGsが採択される前から潮流はあったので、その当時から取り組んでいた企業は「サステナビリティ経営」と表現したりしている。SDGs=持続可能な開発目標」は2030年に向けた野心的な目標なので、「10年後に達成するために会社やってんじゃないわ」っていう企業はサステナビリティという言葉を使うことが多いように思う。個人的には、2028年ぐらいに「SDGs経営」を言い出すのは遅すぎると思うけど、今なら「SDGs経営」って言っても良いんでは?と思う。日本企業がいつからかなぜか3~5年の「中期経営計画を立てるのが常識」みたいな文化ができて、5年以上の計画を立てている企業がほとんどない中に置いては2030年に向けた目標というだけでも、今から10年先。立派な長期ビジョンができる。

自分の中での整理
【サステナビリティ経営】
事業活動(売上をあげる本業)を通じた社会課題解決。SDGsを取り入れ、具体的な製品・サービスが具体的なSDGsターゲットにどう貢献するかを示し、事業KPIとともに社会KPIを設定し事業活動の社会へのプラスインパクト・社会的意義を数値化・視える化する。企業活動(CS部門、管理部門)はESG経営の指標を取り入れ、活動を「環境」「社会」「ガバナンス」に分類してそれぞれどう責任を果たすか、マイナスインパクトをどう減らすかを数値化・視える化する。プラスマイナス含めたこれら活動の数値化・視える化は、第三者評価を使ったりTCFDやらGRIやらSASBやらISO26000やらいろんな国際的基準に照らして報告している。この非財務情報と財務情報を合わせて「サステナビリティレポート」「統合報告書」とかの名前で年イチ発行したり。10年以上(2030年以降)先のビジョンを示している場合に効果を発揮すると思われる。

【SDGs経営】
事業活動の表現はサステナビリティ経営と基本的に一緒。企業活動の内容にもSDGsの目標・ターゲットを絡めて数値化・視える化する。ただ、この表現の分類をしれっとESGに合わせることはできて、SDGsだけ見てるわけじゃないですよアピールはできるかも?評価の仕方や報告書もサステナビリティと近いけど、その表現分類の中ではあくまでSDGsに触れる。時間制限があるとはいえ2030年までの経営方針としては抜群の具体性を訴えられる。今からであれば10年先というのは長期ビジョンにも足る。企業理念やら社是やらを変えずに、現経営者で進めるにちょうど良いスパンとも思える。

どっちが良い悪いはない話だと思う。考え方の違いだし、どちらにせよ経営の強い意志がなければ社内に浸透しないし変わらないし、これまでの経営方針が売り上げ重視だとかのびのび成長を志向していたところから転換する状況だとするとより一層、強い意志とビジョンの提示と頻繁な説明がなければ実現しえない。ビジネスマンの中でも「SDGs」自体、いまだに知らない人も大多数いる。

でも、時代は?世界は?ちょっとずつ変わってる。今まで「先進国」「発展途上国」と分けていた分類は、今は何でどう分類すれば良いのかわからない状況。アフリカやインドなどの砂漠地帯にも携帯は普及している。スマホは先進国だけの持ち物ではない。日本の小中学校の指導要領に「SDGs」が盛り込まれている。高校では専門文科ができる。大学でもすでに教えているし、子供~大学生の、これからの社会を担う若者世代がすでにSDGsネイティブとして活動している。

取り入れるのも意志、取り入れないのも意志、ただ時代は進んでる。

取り入れないのは意志なんだけど、ゆるやかな自殺なんだろうなと思われる。今の生活の延長上に、豊かな未来はないと。個人の価値観とか人生観については今回触れないけども、企業が存続する上ではここは議論して自社の方向性、方針を決めておくほうが良いんじゃないかなぁと思う。たとえばコーポレートサイトでなんもサステナビリティやらSDGsやらに触れてないのは、実際内部では活動してたり、どれだけ良い活動してても、他の人から見ると「知らない」「やってない」「考えてない」ととらえられる。企業に寄らないか、法人ならそうかも。

これも図示がいるなぁ

フューチャーランナーズ

2020年10月頃から見つけた、毎週水曜夜のフジテレビ、番組のつなぎの5分に「フューチャーランナーズ」てミニ番組。自分が(あんまりテレビ見ないけど)見てるテレビ番組上で知ってる限り、SDGsをテーマにした番組はこれが初な気がする。番組内でテーマとして取り上げたりCMで流れてたりはよく見るようになったけど。

「フューチャーランナーズ」は、MS&ADが提供してる、SDGsにいち早く取り組んでいるトップランナーを1分少々くらいで取り上げている番組。毎回17目標にかかわりのある人を取り上げ、SDGs目標とともにその活動を紹介している。最近だと服とか布の大量廃棄問題からファッションブランドを立ち上げた青年(目標12「つくる責任 つかう責任」目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連)とか、ダイアローグ・ジャパン・ソサエティの方(目標4「質の高い教育をみんなに」目標10「人や国の不平等をなくそう」目標11「住み続けられるまちづくりを」に関連)とか。

このダイアローグ・ジャパン・ソサエティの活動は初めて2030カードゲームを体験したときに紹介されていて衝撃的で覚えてたので、番組見たときにあーーーこれかってなった。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」っていうワークショップ?で、視覚障がい者のガイドで健常者が暗闇の中障害物を避けながら歩いたりなんだりするっていうもの。対等な立場での対話が生まれるとのこと。
まだ体験したことないからやってみたい。

ほかにもいろんな切り口でいろんな人を取り上げてる。でおそらくはその取り上げられてる人たちは、SDGsができてから活動を開始したわけじゃなく、もともと活動してた。それまでは「慈善事業」「NPO」「収益が見込めないもの」の扱いだったそれらの活動にこれまでとは異なる光の当て方をしているのがSDGs。それまでの活動が再評価されるきっかけになっていてMS&ADは改めて違う視点から光を当てるってことをしてる。

MS&ADのCMも「未来は明るいとは限らない」から始まってちょっとドキッとさせる。いろんな社会課題を並べて不安煽りながら、場面変えて「未来を予測して課題を解決していく保険の力が必要」つってキャッチコピーの「さぁ、いい方の未来へ」って流れ。よく作られてるなぁと思う。保険業務の、持続可能な社会との関連もうまく考えられてると思う。うすっぺらいって言われそうだけどこういうのは好きだなぁ。

さて自社はっていうとこれが難しいんだけど、最近大枠がつかめつつある気がする。
プレゼン力にかかってきそうなところが気が重いけども。
つづく。

フューチャーランナーズ 毎週水曜22時54分~ フジテレビ

SDGs目標のターゲットを考える 17.パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs17目標いよいよ最後の17番目「パートナーシップで目標を達成しよう」。ここまで長かった、、けどさすが17番目の目標。ラスボスにふさわしいターゲット数。目標17にだけカテゴライズがあるくらい。手がのびなかったけどやるしかない。目標本文は「持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」。要は協力・協働・共創していきましょうってことだけど、いろんな切り口で具体的な協力体制を示している。

【資金】
最初のターゲット群は資金面に関するもの。
17.1は、開発途上国の課税および徴税能力の向上。途上国は政府機関も十分な体制になくて税金を正しく徴収できていないということか。たしかに住民登録がないようなレベルだと誰がどこでどう稼いでいるかもわからない状態といえそう。手段として国際支援を通じて資源の動員強化を図ることまでターゲットとされている。

ターゲット17.2は先進国の途上国に対するODAへのコミットメントの完全実施。ODAとは「政府開発援助(official development assistance)」で、政府資金で途上国を援助すること。17.2ではこの完全実施の目標設定について、いくら出すかでなく開発途上国、後発開発途上国それぞれのGNI比に対しての出資比率としている。GNIとは「国民総所得(Gross National Income)」のこと。
国連データによると、キャパシティ・ビルディングと国家計画のためのODA総額は2016年204億ドルで2010年からあんていしているものの、実質ODA総額は2017年に減少しており、援助を受ける側のGNI比はまだ0.31%と低い水準とのこと。もっと出さねばということなのか、途上国の所得が上がってきたといえるのかは微妙。

17.3は複数の財源からの開発途上国のための追加的資金源動員。これも17.2に通じるけど、政府資金だけでなくいろんな財源からということ。民間企業の出番なとこかな。

17.4は負債による資金調達、債務救済や債務再編の促進を目的とする政策を通じた債務リスクの軽減。ソース元が確かでないけど、中国が東南アジア諸国に資金貸付をして、返せないってなったときに見返りとしてその航路の貿易権をもらって中国さらに儲かる、みたいなことしてるて話を聞いたことがある。このターゲットには「協調席な政策により」て文言があって、途上国が返せないような計画の負債を負わせずにみんなが持続可能な状態になることを目指している。

ターゲット17.5は後発開発途上国のための投資促進枠組みの導入実施。投資だから未来に返す前提なのかな、でも今より投資しやすくるする仕組みをつくりましょうと。これは政府主導なのかな?

【技術】
ターゲット17.6からは技術面に関するパートナーシップ。
17.6は科学技術をよびイノベーションに関する南北協力、南南協定、地域的・国際的な三角協力の強化、国連レベルにおける組織間のコーディネーションの改善を通して知識共有を進めること。まぁ方々協力して技術を共有しましょうということですね。

ターゲット17.7は環境に配慮した技術の開発、移転、普及、拡散の促進。ただの技術でなく環境を大事にした技術をひろめようという目標。17.8は2017年目標で、後発開発途上国のための技術バンクと科学技術イノベーション能力構築メカニズムの完全運用。これは達成してるんだろうか?

【キャパシティ・ビルディング】
ターゲット17.9は能力構築に関する目標。
すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するためのキャパシティ・ビルディング実施に対する国際的な支援強化。能力を構築するための協力をしましょう、なんでも良いのでなく、効果的で的をしぼったものにしましょうという目標。選択と集中で効果をあげてこうと。

【貿易】
ターゲット17.10からは貿易に関する目標群。
17.10は差別的でなく公平な多角的貿易体制の促進。WTOによる多角的貿易自由化交渉、世界貿易機関のもと普遍的なルールに基づくことも記載されている。正当なルール化での貿易。最近日本が加入したRCEPもそれに関係あるかな?

ターゲット17.11は2020年目標での世界輸出に占める後発開発途上国のシェア倍増。これはもしやコロナで未達か、、
国連データによると、発展途上国の世界貿易輸出シェアは2001年から2012年まで増加していたが、2016年まで減少している。後発開発途上国においては2000年から2013年まで上昇していたが、その後減少している。シェアの割合でいうと先進国の伸びも含まれるのでなんとも言いづらいけど、コロナでさらに減少傾向にある気がする。

ターゲット17.12は後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な減産地規則の永続的な無税・無粋の市場アクセスの適時実施。むずかしい。輸出入の促進・円滑化ということかな?

【体制面】
-政策・制度的整合性
ターゲット17.13、政策協調や政策の首尾一貫性を通じたマクロ経済の安定促進。国を越えて経済を安定させましょう、政治主権が変わったとかでコロコロ政策変えるのやめましょうという目標。日本は今自民党一強みたいになってるから大きくは変わらなそうだけど、これからはアメリカとかが心配なところ。バイデンさんになってパリ協定は維持するのか??

ターゲット17.14は持続可能な開発のための政策の一貫性強化。これも17.13に通じるもので、持続可能な政策を続けましょうて目標。国レベルの話が多い。

ターゲット17.15は各国の政策余地とリーダーシップの尊重。貧困撲滅、持続可能な開発という二大目標の達成に向けた施策は強調しながらも各国に裁量を持たせますよってことか。一方的にこれやれっていうのは確かに持続可能じゃない気がする。

-マルチステークホルダー・パートナーシップ
17.16、持続可能な開発目標達成の支援のため、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、グローバル・パートナーシップを強化すること。知識や専門的知見、技術、資金源などの面からパートナーシップを強化していきましょうと。このへんはあんまり解釈いらなそう。

ターゲット17.17は効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップの奨励・推進。これもこのままだなぁ。でもここに来てはじめての、国以外のプレイヤーが出てきたような気もする。国だけが協力するんでなく、民間もですよってのをここで目標にしてる。

-データ、モニタリング、説明責任
ターゲット17.18は、2020年までの質が高くタイムリーで信頼性のある非集計型データ(所得、性別、人種、民族、居住資格、障がい、地理的位置、各国の国内状況に関連するその他特性)の入手可能性向上。非集計データとは、ざっとぐぐったところ合計とか平均みたいな計算を行わずにそのまま使うデータのこと。入手可能性向上てことは今まで入手できていなかったてこと。果たして2020年、今年達成できているのか。

ターゲット17.19は、2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度の作成と統計に関するキャパシティ・ビルディングを行うこと。GDPでのはあくまで経済指標だからこれだけを指標にしちゃうと今までの持続不可能な世界の延長になってしまうから。幸福度なんて良いんじゃないかなぁ、あとはこれまでのSDGs169ターゲットのひとつひとつの尺度が持続可能な開発の進捗状況を測る指標のひとつになるんだろうな。めちゃくちゃ多いけど。

国連データによると、開発途上国はあらゆる分野の統計に関し2015年に5億4100万ドルの資金援助を受けているが、これはODA全体の0.3%で、これらの国が開発アジェンダを実施し進捗状況をモニタリングするには不十分とのこと。金だけが解決手段ではないけど金の指標だけでもまだ足りないということ。やることいっぱい。

以上、169ターゲット。ひとつひとつ見ていったことでなんとなく言いたいことの概観がわかったような気もする。優先度とか重要度は人によって異なるし、ひとつだけの解決というのがあり得ないことも冒頭に(多分)書いてたように目標や課題は相互に関連してるから、できることから初めて徐々に広げていくのが良いんだろうなと思う。

目標17は個人から始められることは割と限られるけど、協力姿勢が大事なのだな。

SDGsのターゲットに詳しくなったらもうつけてても問題ない(何か聞かれてもちゃんと答えられる)かも?

\正規販売/ SDGs 国連 17色 ピンバッジ バッジ バッチ バッヂ 襟章 留め具 日本未発売 (2個)

価格:1,850円
(2021/1/31 15:58時点)
感想(1件)

SDGs目標のターゲットを考える 16.平和と公正をすべての人に

SDGs17目標の16番目の目標「平和と公正をすべての人に」。キャッチコピー通りのイメージ。「公正」があることで司法関連の項目もある。本文は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。」誰一人取り残すことなく平和を享受できて、裏のない世界にっていう感じか。

ターゲット16.1はすべての形態の暴力と暴力に関連する死亡率の大幅減少。すべての形態っていうのが特徴的に思う。身体的、精神的、性的などなどを含めてあらゆる種類の暴力をなくそうという目標。

ターゲット16.2はその対象を子どもにもひろげて、あらゆる形態の暴力と拷問の撲滅を目標にしている。拷問ていうとちょっと過激に聞こえるけど、児童虐待は日本でも大きな問題になっているしコロナの影響で相談件数が増えているという報道もある。国連データによると、2012年から2014年の間に、人身売買を含む570以上の異なる人の動きあが検出されすべての地域に影響を及ぼしたとのこと。異なる人の動きって正規ルートでない動きということかな。

ターゲット16.3は国家および国際的なレベルでの法の支配促進、すべての人への司法への平等なアクセスの提供。国連データでは、全世界で有罪判決を受けないまま拘束されている受刑者の割合は過去10年間でほぼ横ばいとのこと。2014-2016年で31%と、3人に1人が有罪判決を受けずに拘束されてるっていう事実が衝撃。逮捕=有罪ではないのか、最近だと香港と中国のやつで拘束されてるひとたちとかもそうなのかな

ターゲット16.4は違法な賃金と武器の取引の大幅減少、奪われた財産の回復・返還強化、あらゆる形態の組織犯罪根絶。武器っていうと外国の話か暴力団の話ぽいけど、日本でも起きてるオレオレ詐欺とかサイバーテロとかも違法な賃金取引。年々手口が巧妙化してるし被害額も増加している。自分の行動でできることは少ないけど、せめて自分の家族とか周りの人が被害にあわないような声掛けというかなんかしたい。

ターゲット16.5はあらゆる形態の汚職や贈賄の大幅減少。これはエライさんたちしっかりしてくださいて感じ。国会議員でもよく出てくるからなぁ。

ターゲット16.6はあらゆるレベルで、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関の発展。公文書あたりをブロックチェーンでつなぐとかしたら良いんじゃないのと思う。でも電子書類とかハンコ文化とかも、プリンターとかカメラの精度がどんどん上がっていくと本物かコピーかの区別はいよいよつけづらくなる。そうなったときにどうやって本物を証明するのか、知見ある人の話を聞いてみたい。

ターゲット16.7はあらゆるレベルにおける対応的、包摂的、参加型および代表的な意思決定の確保。包摂的は誰も取り残さないような意思決定。参加型もわかる。対応的な意思決定ていうのがちょっとわからない。代表的と参加型の違いもちょっとわからない。違いというか矛盾するような?多数決だと少数派は包摂されてない?とか考えだすと、理想的だけど難しいターゲットなんだなと思う。

16.8はグローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加拡大。一昔前の先進国だけで世界を動かしてくんでなく、全員参加型でいこうと。そうですね。

16.9はすべての人への出生登録を含む法的な身分証明の提供。国連データでは、世界的にみて5歳未満の子供の73%が出生登録をしている。サハラ以南アフリカではその割合が46%と、半分にも至っていない。中国の一人っ子政策は、第二子以降、生まれても届け出が出されない子を発生させたってのも聞いたことある。日本はほぼほぼ100%が出生登録されてるはずだけど、自分の存在証明がないって想像がつかないけどエライおそろしいことに感じる。なんの保証も受けられないとか。

ターゲット16.10は情報への公共アクセスの確保、基本的自由の保障。公共アクセスってどういうイメージなのか。役所とか図書館とか行ったらしかるべき情報が得られるような仕組みてことか。公共wifiみたいなものはちょっと違うような気がするけどそれもひとつの手段ともいえる。あと基本的自由は定義が難しそう。

ターゲット16.aは暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関してあらゆるレベルでのキャパシティ・ビルディングを進め関連国家機関を強化すること。キャパシティ・ビルディングとは、組織的な能力・基礎体力を構築すること。ひとつの国だけで解決を目指すんでなく、国際協力しながら世界的に犯罪なくしていきましょーと。

ターゲット16.bは非差別的な法規および政策の推進、実施。目標5のジェンダーのとこだったか、目標10の平等のとこだったか、差別的な法律・慣行の撤廃があったはず。それと似てる。男女平等に関するものとかは昔の法律そのままだと差別的要素入ってそうだし見直しがいるんだろうな。

目標16はあらゆる方面、レベルでの平和と、健全性、透明性に関する目標群。16番目てこともあって(順番にどのくらい意味があるのかはわからないけど)ある程度の社会レベルに到達してようやく着手できるものというか、レベルの高い目標に感じる。だからといって優先順位が低いわけでもないけど、より国家的な働きかけとか、規模の大きな話に感じる。個人ができることは限界があるけどまずは自分のまわりでは暴力がない生活を送るとか、上述の犯罪防止の取り組みぐらいは徹底したい。

SDGsについて正しく知りたいならコレ。日本にSDGsの概念を定着させている第一人者であちこちのフェアやセミナーにもひっぱりだこの方。

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書 2604) [ 蟹江 憲史 ]

価格:1,012円
(2021/1/31 15:18時点)
感想(1件)

SDGs目標のターゲットを考える 15.陸の豊かさも守ろう

SDGs17目標の15番目「陸の豊かさも守ろう」海に続いて陸も。なぜ海が先なのか、海のほうが深刻なのか?順番に意味があるかはわからないけど、陸の本文は長め。「陸上生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、土地の劣化の阻止・回復ならびに生物多様性の損失を阻止する」。森林や生物といった資源を持続可能にというのは海と同じだけど、より求められるレベルが高いようにも感じる。人間が侵入しやすい分、いろいろなところで影響というか深刻な面が多いということかな。

ターゲット15.1、15.2、15.8、15.9は、2020年目標。
15.1は森林・湿地・山地・乾燥地をはじめとする陸上生態系と内陸淡水生態系、それらのサービスに対する保全・回復・持続可能な利用の確保。国際協定のもと決められた義務に則ってとあるけどこれは誰が達成状況を決めるんだろうか?
15.2はあらゆる種類の森林の持続可能な経営の促進で森林減少阻止、と、世界全体で新規植林と再植林の大幅増加。日本は未だに世界木材輸入量2位なんだろうか。
15.8は外来種の侵入防止と優先種の駆除または根絶。15.9は国や地方の計画策定・開発プロセス・貧困削減の戦略や会計に、生態系と生物多様性の価値を組み込むこと。
果たして今年中に達成できるのかこれらの目標。目標設定から5年経つことになるけど、個人的には達成しているようには感じられない。。。

ターゲット15.3は2030年までに劣化した土地と土壌を回復し土地劣化に荷担しない世界の達成への尽力。劣化した土地と土壌てのは、砂漠化、干ばつ、洪水の影響を受けた土地など。国連データによると、地球上の植生で覆われた地表面の約1/5が1999年から2013年にかけて生産性の低下傾向にあり、10億人以上の生活を脅かしている。農地の19%、森林の16%、草原の19%、放牧地の28%を含む最大2400万平方キロメートルの土地が影響を受けた。

ターゲット15.4は生物多様性を含む山地生態系の保全。これはなんでもかんでも保全するんでなく、持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の強化につながるようなもの。外来種とか、固有種の生態系を破壊するようなものは該当しない。たとえば昆虫がいなきゃ植物が受粉できないみたいな、生態系を保全するのに有益な生態系をちゃんと守ろうっていう目標。

ターゲット15.5は、15.4で保全する山地生態系の中でもより緊急度が高い、絶滅危惧種の保護、絶滅防止の緊急対策が目標。国連データでは1993年以降、世界的な絶滅危惧種のレッドリスト指数は0.84から0.74に低下している。(低いほど悪い)この生物多様性に対する脅威の主な原因が、持続不可能な農業、森林減少、持続不可能な収穫と貿易、侵略的な外来種による生息地の喪失。こうしてみると日本も例外でなく、海外に迷惑かけてる感もだいぶ出てくる。農薬を使いまくった土地で連作障害が起こったり、大量に捨てることになるのに過剰に輸入してたり、自分たちの適正をわきまえないといけない。

ターゲット15.6は国際合意に基づく遺伝資源の利用から生じる利益の公正で公平な配分の推進と適切なアクセスの推進。遺伝資源てナニモノと思ってウィキったらこれ
『現在あるいは潜在的に利用価値のある遺伝素材である。 ここでいう遺伝素材とは遺伝の機能的な単位を持つ生物その他に由来するもの(wikipedia)』
ナルホドワカラナイ。遺伝子組み換え大豆とかじゃがいも的なことかな?品種改良でたくさん収穫できるようになったものは公正で公平に分けましょう(関税撤廃?)、その栽培方法も適切にアクセスできるようにしましょうってことか?

ターゲット15.7は動植物種の密猟および違法取引の撲滅に対する緊急対策と違法な野生生物製品の需要と供給の両方への対処。違法取引が発生するのは、欲しがる人がいるから。そのほしい人への対処もっていうのは特徴的に見える。取る人だけが悪いんじゃなく、にわとりかたまごかじゃなく両方に対処が必要なんだなぁ。

ターゲット15.aは生物多様性と生態系保全、それらの持続的な利用のための資金動員と大幅な増額。15.bは持続可能な森林経営推進のための資金調達、開発途上国へインセンティブを付与するための相当量の資金動員。ふたつとも目的は少し違うけど要はお金をたくさん投入するよっていう目標。
15.cは持続的な生計機会追及のための地域コミュニティの能力向上、保護種の密猟や違法取引に対処するための努力に対する世界的な支援強化。
これからの生態系、森林を持続的にしていくための資金面、リーガル面?の強化が手段としてあげられている。

キャッチフレーズだけでみると目標14「海の豊かさを守ろう」のペアみたいに「陸の豊かさも守ろう」ってゴロが良い感じだけど、その中身は具体的に生物多様性、森林経営、絶滅危惧種保護、違法取引とか侵略について、それぞれの回復とか悪化阻止とかが目標になっているのが目標15。環境問題でよく取り上げられる「パーム油」関連はまさにこの目標に該当する。日本人の暮らしの中にも浸透している。RSPO認証のパーム油か、FSC認証の木材か、一般商材から判別するのは難しいけど、ナチュラルローソンとか?オーガニック系商品屋さんでは認証マークついた商品も売っているはずで、少々高くてもそれを選択して買うという行為の積み重ねが世界を変えると信じて動いてみる必要がある。

SDGsの考え方だけでなく、2030年までの未来がどうなるか知りたいならコレ。網羅的な視点で世の中を捉えてわかりやすく解説してくれている1冊。

2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望 [ 落合 陽一 ]

価格:1,650円
(2021/1/31 16:01時点)
感想(7件)

SDGs目標のターゲットを考える 14.海の豊かさを守ろう

SDGs17目標の14番目、「海の豊かさを守ろう」。本文は「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」。イメージがつきやすい目標だと思う。ただし、ただ海のことだけ考えれば良い問題ではない。例えば日本では2020年7月から始まったレジ袋有料化などをはじめとする「脱プラスチック」は、この海洋資源問題につながる。ターゲットにキーワードが出てこないけど、関連する問題はたくさんある。

ターゲット14.1は海洋堆積物や富栄養化を含むあらゆる種類の海洋汚染を防止し、それを削減すること。この「あらゆる種類の」がポイントだと思う。すぐ思いつくのは、重油とか、温度とか、ゴミとか。重油問題はこの前日本の船が海外領域で座礁して重油流出したのが問題になっていた。日本ではあまり大きく報道されていないようだけど、、ゴミによる海洋汚染の最たるものが、プラスチック。クジラとか海洋生物の死体のおなか開いたらビニール袋が大量に出てきた、とかあまり珍しくない話になってしまった。ビニール袋だけでなく、5ミリ以下のプラスチック=マイクロプラスチックも、生物の体内に入って同じことを起こしている。

14.2は、海洋と沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避し、健全で生産的な海洋を実現・回復するための取り組みを行うこと。海洋資源の中で特に生態系に注力した目標。14.3は、海洋酸性化の影響を最小限化し対処すること。世界の海洋および沿岸の海域調査によれば、現在の海洋酸性度は産業革命から平均約26%増加している。大気中のCO2量が増えているが、海の中でもCO2増による酸性化が進んでいる。

ターゲット14.4は、乱獲や違法・無報告・無規制(IUU)漁業および破壊的な漁業観光の撤廃と、生物化学的特性によって定められる持続的生産量のレベルまでの回復。海洋を汚さないだけでなく、漁業に対する目標。最近日本でも、大企業の乱獲によって本来の漁場にたどり着いた魚が激減・品質が悪い状態になるなどのニュースが出ている。地球全体で、資源量と漁獲量をコントロールする必要がある。

ターゲット14.5は少なくとも沿岸域と海域の10%の保全。これはどういうことなのか、、今は10%も保全できていないのか、調べてみないとわからない。

14.6は、2020年までに過剰生産や乱獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制すること。ターゲット14.4で漁獲自体のコントロールを目標としているけど、これはその根源となる補助金を断つ目標。というかこんな補助金があるのか、と思ってしまうけども、トレードオフにつながるすぐには解決できない問題なんだろうなと思う。

ターゲット14.7は小島嶼開発途上国・後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益の増大。先進国からの提供だけでなく、開発途上国も自立できるようになろうという目標。漁獲だけでなく、観光資源としても持続可能を目指している。

ターゲット14.aは海洋技術の移転に関する「ユネスコ政府間海洋学委員会」の基準・ガイドラインを考慮した研究能力向上、海洋技術移転。14.bは小規模・沿岸零細漁業者への海洋資源・市場へのアクセス提供、14.cは「我々の求める未来」のパラ158のとおり、国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施し海洋と海洋資源の保全および持続可能な利用を強化すること。誰一人取り残さない=小規模・零細漁業者も取り残さない方法、アクセスだけでなく技術も。

これらの活動の結果を受けて、保護を受ける海洋生物多様性水域は広がってきており、重要な海洋生物多様性水域は2000年30%から2018年44%へと拡大している。これでとどまらず、より高い目標の達成が望まれる。
海資源に関する目標群。自分は内陸生まれで今の仕事も直接海に関係しない、少し縁遠くも感じる目標。だけど、無意識に捨てたプラスチックが風化してマイクロ化して海に流れ着いて海洋資源を汚染している可能性は大いにある。スーパーで買う魚の出どころが適正かどうかを知るすべは今の時代はまだ難しいけど、自分の生活によって発生するゴミの行く末はイメージすることができる。小さいことから変えていけると良いなぁ。

SDGsを正確にとらえるならコレ。SDGsの第一人者が語るSDGs採択の経緯や日本人が理解しやすいターゲット説明などを丁寧に説明している1冊。

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書 2604) [ 蟹江 憲史 ]

価格:1,012円
(2021/1/31 15:18時点)
感想(1件)