SDGs17目標、グループ分け

SDGsの17目標、一度に覚えるのは大変そうだけど、グループ分けをすることでわかりやすくなる。

グループ分け① 5つのP
ユニセフが作成?一番メジャーかも。日本政府もこの図を使ってる。Pから始まる5グループで構成。【People:人間】目標1、2、3、4、5、6
【Prosperity:豊かさ】目標7、8、9、10、11
【Planet:地球】目標12、13、14、15
【Peace:平和】目標16
【Partnership:パートナーシップ】目標17
目標が連番なのも特徴かも。5つのPが影響し合って循環するイメージ。

グループ分け② 3層
ストックホルム・レジリエンス・センターのヨハン・ロックストローム氏らが提唱した。ウェディングケーキモデルとも言われる。
【中軸:パートナーシップ】目標17
【上位:経済】目標8、9、10、12
【中位:社会】目標1、2、3、4、5、7、11、16
【下位:自然資本】目標6、13、14、15
この上中下に優劣はなくて、どっちかてとまず土台に環境があって、そこが成立するからその上位層が成立するっていう考え方。十分な環境があって、そこから成立する社会が成り立ってこそ経済が回る、この3層を貫くのがパートナーシップ、という考え方。
最近はこのウェディングケーキを実際に作って、課題の大きい部分(十分でない部分)を取り崩していくことでケーキのバランスが崩れて世界が崩壊する=持続可能な状態にない、っていうワークショップをやっている人も出てきて話題になった。

グループ分け③ 4ジャンル
ESG(環境、社会、経済)+人間の4ジャンルの分けかた。人間が生活する最低限の必要なことと、権利としての社会を分けている感じ。4ジャンル×4目標+パートナーシップで17目標。

グループ分けには特に正解があるわけでないので、自分なりにグルーピングして他の人の考えと見合うのもワークショップネタのひとつになる。自分が最初にグループ分け体験したのは、シブヤ大学の講座。参加者同士でグループ分けをして、発表し合った。ピラミッド構造のグループ、分類が細かいグループ、仲間外れの目標がある、、など様々だった。これも価値観とか、どれだけ関連に気づけるかとかもある。SDGs初級者向けとか、学校向けに良いワークだったと思う。

自分ならどんなグループ分けにするか?
半年前くらいに、個人で解決に向けて動けること、複数人で解決を目指せること、自治体や企業など大きい組織でないと解決できないこと、世界規模で対処しないと解決できないこと、っていう分類をしてみたことがあったな。

SDGs目標のターゲットを考える 17.パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs17目標いよいよ最後の17番目「パートナーシップで目標を達成しよう」。ここまで長かった、、けどさすが17番目の目標。ラスボスにふさわしいターゲット数。目標17にだけカテゴライズがあるくらい。手がのびなかったけどやるしかない。目標本文は「持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」。要は協力・協働・共創していきましょうってことだけど、いろんな切り口で具体的な協力体制を示している。

【資金】
最初のターゲット群は資金面に関するもの。
17.1は、開発途上国の課税および徴税能力の向上。途上国は政府機関も十分な体制になくて税金を正しく徴収できていないということか。たしかに住民登録がないようなレベルだと誰がどこでどう稼いでいるかもわからない状態といえそう。手段として国際支援を通じて資源の動員強化を図ることまでターゲットとされている。

ターゲット17.2は先進国の途上国に対するODAへのコミットメントの完全実施。ODAとは「政府開発援助(official development assistance)」で、政府資金で途上国を援助すること。17.2ではこの完全実施の目標設定について、いくら出すかでなく開発途上国、後発開発途上国それぞれのGNI比に対しての出資比率としている。GNIとは「国民総所得(Gross National Income)」のこと。
国連データによると、キャパシティ・ビルディングと国家計画のためのODA総額は2016年204億ドルで2010年からあんていしているものの、実質ODA総額は2017年に減少しており、援助を受ける側のGNI比はまだ0.31%と低い水準とのこと。もっと出さねばということなのか、途上国の所得が上がってきたといえるのかは微妙。

17.3は複数の財源からの開発途上国のための追加的資金源動員。これも17.2に通じるけど、政府資金だけでなくいろんな財源からということ。民間企業の出番なとこかな。

17.4は負債による資金調達、債務救済や債務再編の促進を目的とする政策を通じた債務リスクの軽減。ソース元が確かでないけど、中国が東南アジア諸国に資金貸付をして、返せないってなったときに見返りとしてその航路の貿易権をもらって中国さらに儲かる、みたいなことしてるて話を聞いたことがある。このターゲットには「協調席な政策により」て文言があって、途上国が返せないような計画の負債を負わせずにみんなが持続可能な状態になることを目指している。

ターゲット17.5は後発開発途上国のための投資促進枠組みの導入実施。投資だから未来に返す前提なのかな、でも今より投資しやすくるする仕組みをつくりましょうと。これは政府主導なのかな?

【技術】
ターゲット17.6からは技術面に関するパートナーシップ。
17.6は科学技術をよびイノベーションに関する南北協力、南南協定、地域的・国際的な三角協力の強化、国連レベルにおける組織間のコーディネーションの改善を通して知識共有を進めること。まぁ方々協力して技術を共有しましょうということですね。

ターゲット17.7は環境に配慮した技術の開発、移転、普及、拡散の促進。ただの技術でなく環境を大事にした技術をひろめようという目標。17.8は2017年目標で、後発開発途上国のための技術バンクと科学技術イノベーション能力構築メカニズムの完全運用。これは達成してるんだろうか?

【キャパシティ・ビルディング】
ターゲット17.9は能力構築に関する目標。
すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するためのキャパシティ・ビルディング実施に対する国際的な支援強化。能力を構築するための協力をしましょう、なんでも良いのでなく、効果的で的をしぼったものにしましょうという目標。選択と集中で効果をあげてこうと。

【貿易】
ターゲット17.10からは貿易に関する目標群。
17.10は差別的でなく公平な多角的貿易体制の促進。WTOによる多角的貿易自由化交渉、世界貿易機関のもと普遍的なルールに基づくことも記載されている。正当なルール化での貿易。最近日本が加入したRCEPもそれに関係あるかな?

ターゲット17.11は2020年目標での世界輸出に占める後発開発途上国のシェア倍増。これはもしやコロナで未達か、、
国連データによると、発展途上国の世界貿易輸出シェアは2001年から2012年まで増加していたが、2016年まで減少している。後発開発途上国においては2000年から2013年まで上昇していたが、その後減少している。シェアの割合でいうと先進国の伸びも含まれるのでなんとも言いづらいけど、コロナでさらに減少傾向にある気がする。

ターゲット17.12は後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な減産地規則の永続的な無税・無粋の市場アクセスの適時実施。むずかしい。輸出入の促進・円滑化ということかな?

【体制面】
-政策・制度的整合性
ターゲット17.13、政策協調や政策の首尾一貫性を通じたマクロ経済の安定促進。国を越えて経済を安定させましょう、政治主権が変わったとかでコロコロ政策変えるのやめましょうという目標。日本は今自民党一強みたいになってるから大きくは変わらなそうだけど、これからはアメリカとかが心配なところ。バイデンさんになってパリ協定は維持するのか??

ターゲット17.14は持続可能な開発のための政策の一貫性強化。これも17.13に通じるもので、持続可能な政策を続けましょうて目標。国レベルの話が多い。

ターゲット17.15は各国の政策余地とリーダーシップの尊重。貧困撲滅、持続可能な開発という二大目標の達成に向けた施策は強調しながらも各国に裁量を持たせますよってことか。一方的にこれやれっていうのは確かに持続可能じゃない気がする。

-マルチステークホルダー・パートナーシップ
17.16、持続可能な開発目標達成の支援のため、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、グローバル・パートナーシップを強化すること。知識や専門的知見、技術、資金源などの面からパートナーシップを強化していきましょうと。このへんはあんまり解釈いらなそう。

ターゲット17.17は効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップの奨励・推進。これもこのままだなぁ。でもここに来てはじめての、国以外のプレイヤーが出てきたような気もする。国だけが協力するんでなく、民間もですよってのをここで目標にしてる。

-データ、モニタリング、説明責任
ターゲット17.18は、2020年までの質が高くタイムリーで信頼性のある非集計型データ(所得、性別、人種、民族、居住資格、障がい、地理的位置、各国の国内状況に関連するその他特性)の入手可能性向上。非集計データとは、ざっとぐぐったところ合計とか平均みたいな計算を行わずにそのまま使うデータのこと。入手可能性向上てことは今まで入手できていなかったてこと。果たして2020年、今年達成できているのか。

ターゲット17.19は、2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度の作成と統計に関するキャパシティ・ビルディングを行うこと。GDPでのはあくまで経済指標だからこれだけを指標にしちゃうと今までの持続不可能な世界の延長になってしまうから。幸福度なんて良いんじゃないかなぁ、あとはこれまでのSDGs169ターゲットのひとつひとつの尺度が持続可能な開発の進捗状況を測る指標のひとつになるんだろうな。めちゃくちゃ多いけど。

国連データによると、開発途上国はあらゆる分野の統計に関し2015年に5億4100万ドルの資金援助を受けているが、これはODA全体の0.3%で、これらの国が開発アジェンダを実施し進捗状況をモニタリングするには不十分とのこと。金だけが解決手段ではないけど金の指標だけでもまだ足りないということ。やることいっぱい。

以上、169ターゲット。ひとつひとつ見ていったことでなんとなく言いたいことの概観がわかったような気もする。優先度とか重要度は人によって異なるし、ひとつだけの解決というのがあり得ないことも冒頭に(多分)書いてたように目標や課題は相互に関連してるから、できることから初めて徐々に広げていくのが良いんだろうなと思う。

目標17は個人から始められることは割と限られるけど、協力姿勢が大事なのだな。

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SDGs目標のターゲットを考える 16.平和と公正をすべての人に

SDGs17目標の16番目の目標「平和と公正をすべての人に」。キャッチコピー通りのイメージ。「公正」があることで司法関連の項目もある。本文は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。」誰一人取り残すことなく平和を享受できて、裏のない世界にっていう感じか。

ターゲット16.1はすべての形態の暴力と暴力に関連する死亡率の大幅減少。すべての形態っていうのが特徴的に思う。身体的、精神的、性的などなどを含めてあらゆる種類の暴力をなくそうという目標。

ターゲット16.2はその対象を子どもにもひろげて、あらゆる形態の暴力と拷問の撲滅を目標にしている。拷問ていうとちょっと過激に聞こえるけど、児童虐待は日本でも大きな問題になっているしコロナの影響で相談件数が増えているという報道もある。国連データによると、2012年から2014年の間に、人身売買を含む570以上の異なる人の動きあが検出されすべての地域に影響を及ぼしたとのこと。異なる人の動きって正規ルートでない動きということかな。

ターゲット16.3は国家および国際的なレベルでの法の支配促進、すべての人への司法への平等なアクセスの提供。国連データでは、全世界で有罪判決を受けないまま拘束されている受刑者の割合は過去10年間でほぼ横ばいとのこと。2014-2016年で31%と、3人に1人が有罪判決を受けずに拘束されてるっていう事実が衝撃。逮捕=有罪ではないのか、最近だと香港と中国のやつで拘束されてるひとたちとかもそうなのかな

ターゲット16.4は違法な賃金と武器の取引の大幅減少、奪われた財産の回復・返還強化、あらゆる形態の組織犯罪根絶。武器っていうと外国の話か暴力団の話ぽいけど、日本でも起きてるオレオレ詐欺とかサイバーテロとかも違法な賃金取引。年々手口が巧妙化してるし被害額も増加している。自分の行動でできることは少ないけど、せめて自分の家族とか周りの人が被害にあわないような声掛けというかなんかしたい。

ターゲット16.5はあらゆる形態の汚職や贈賄の大幅減少。これはエライさんたちしっかりしてくださいて感じ。国会議員でもよく出てくるからなぁ。

ターゲット16.6はあらゆるレベルで、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関の発展。公文書あたりをブロックチェーンでつなぐとかしたら良いんじゃないのと思う。でも電子書類とかハンコ文化とかも、プリンターとかカメラの精度がどんどん上がっていくと本物かコピーかの区別はいよいよつけづらくなる。そうなったときにどうやって本物を証明するのか、知見ある人の話を聞いてみたい。

ターゲット16.7はあらゆるレベルにおける対応的、包摂的、参加型および代表的な意思決定の確保。包摂的は誰も取り残さないような意思決定。参加型もわかる。対応的な意思決定ていうのがちょっとわからない。代表的と参加型の違いもちょっとわからない。違いというか矛盾するような?多数決だと少数派は包摂されてない?とか考えだすと、理想的だけど難しいターゲットなんだなと思う。

16.8はグローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加拡大。一昔前の先進国だけで世界を動かしてくんでなく、全員参加型でいこうと。そうですね。

16.9はすべての人への出生登録を含む法的な身分証明の提供。国連データでは、世界的にみて5歳未満の子供の73%が出生登録をしている。サハラ以南アフリカではその割合が46%と、半分にも至っていない。中国の一人っ子政策は、第二子以降、生まれても届け出が出されない子を発生させたってのも聞いたことある。日本はほぼほぼ100%が出生登録されてるはずだけど、自分の存在証明がないって想像がつかないけどエライおそろしいことに感じる。なんの保証も受けられないとか。

ターゲット16.10は情報への公共アクセスの確保、基本的自由の保障。公共アクセスってどういうイメージなのか。役所とか図書館とか行ったらしかるべき情報が得られるような仕組みてことか。公共wifiみたいなものはちょっと違うような気がするけどそれもひとつの手段ともいえる。あと基本的自由は定義が難しそう。

ターゲット16.aは暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関してあらゆるレベルでのキャパシティ・ビルディングを進め関連国家機関を強化すること。キャパシティ・ビルディングとは、組織的な能力・基礎体力を構築すること。ひとつの国だけで解決を目指すんでなく、国際協力しながら世界的に犯罪なくしていきましょーと。

ターゲット16.bは非差別的な法規および政策の推進、実施。目標5のジェンダーのとこだったか、目標10の平等のとこだったか、差別的な法律・慣行の撤廃があったはず。それと似てる。男女平等に関するものとかは昔の法律そのままだと差別的要素入ってそうだし見直しがいるんだろうな。

目標16はあらゆる方面、レベルでの平和と、健全性、透明性に関する目標群。16番目てこともあって(順番にどのくらい意味があるのかはわからないけど)ある程度の社会レベルに到達してようやく着手できるものというか、レベルの高い目標に感じる。だからといって優先順位が低いわけでもないけど、より国家的な働きかけとか、規模の大きな話に感じる。個人ができることは限界があるけどまずは自分のまわりでは暴力がない生活を送るとか、上述の犯罪防止の取り組みぐらいは徹底したい。

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SDGs目標のターゲットを考える 15.陸の豊かさも守ろう

SDGs17目標の15番目「陸の豊かさも守ろう」海に続いて陸も。なぜ海が先なのか、海のほうが深刻なのか?順番に意味があるかはわからないけど、陸の本文は長め。「陸上生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、土地の劣化の阻止・回復ならびに生物多様性の損失を阻止する」。森林や生物といった資源を持続可能にというのは海と同じだけど、より求められるレベルが高いようにも感じる。人間が侵入しやすい分、いろいろなところで影響というか深刻な面が多いということかな。

ターゲット15.1、15.2、15.8、15.9は、2020年目標。
15.1は森林・湿地・山地・乾燥地をはじめとする陸上生態系と内陸淡水生態系、それらのサービスに対する保全・回復・持続可能な利用の確保。国際協定のもと決められた義務に則ってとあるけどこれは誰が達成状況を決めるんだろうか?
15.2はあらゆる種類の森林の持続可能な経営の促進で森林減少阻止、と、世界全体で新規植林と再植林の大幅増加。日本は未だに世界木材輸入量2位なんだろうか。
15.8は外来種の侵入防止と優先種の駆除または根絶。15.9は国や地方の計画策定・開発プロセス・貧困削減の戦略や会計に、生態系と生物多様性の価値を組み込むこと。
果たして今年中に達成できるのかこれらの目標。目標設定から5年経つことになるけど、個人的には達成しているようには感じられない。。。

ターゲット15.3は2030年までに劣化した土地と土壌を回復し土地劣化に荷担しない世界の達成への尽力。劣化した土地と土壌てのは、砂漠化、干ばつ、洪水の影響を受けた土地など。国連データによると、地球上の植生で覆われた地表面の約1/5が1999年から2013年にかけて生産性の低下傾向にあり、10億人以上の生活を脅かしている。農地の19%、森林の16%、草原の19%、放牧地の28%を含む最大2400万平方キロメートルの土地が影響を受けた。

ターゲット15.4は生物多様性を含む山地生態系の保全。これはなんでもかんでも保全するんでなく、持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の強化につながるようなもの。外来種とか、固有種の生態系を破壊するようなものは該当しない。たとえば昆虫がいなきゃ植物が受粉できないみたいな、生態系を保全するのに有益な生態系をちゃんと守ろうっていう目標。

ターゲット15.5は、15.4で保全する山地生態系の中でもより緊急度が高い、絶滅危惧種の保護、絶滅防止の緊急対策が目標。国連データでは1993年以降、世界的な絶滅危惧種のレッドリスト指数は0.84から0.74に低下している。(低いほど悪い)この生物多様性に対する脅威の主な原因が、持続不可能な農業、森林減少、持続不可能な収穫と貿易、侵略的な外来種による生息地の喪失。こうしてみると日本も例外でなく、海外に迷惑かけてる感もだいぶ出てくる。農薬を使いまくった土地で連作障害が起こったり、大量に捨てることになるのに過剰に輸入してたり、自分たちの適正をわきまえないといけない。

ターゲット15.6は国際合意に基づく遺伝資源の利用から生じる利益の公正で公平な配分の推進と適切なアクセスの推進。遺伝資源てナニモノと思ってウィキったらこれ
『現在あるいは潜在的に利用価値のある遺伝素材である。 ここでいう遺伝素材とは遺伝の機能的な単位を持つ生物その他に由来するもの(wikipedia)』
ナルホドワカラナイ。遺伝子組み換え大豆とかじゃがいも的なことかな?品種改良でたくさん収穫できるようになったものは公正で公平に分けましょう(関税撤廃?)、その栽培方法も適切にアクセスできるようにしましょうってことか?

ターゲット15.7は動植物種の密猟および違法取引の撲滅に対する緊急対策と違法な野生生物製品の需要と供給の両方への対処。違法取引が発生するのは、欲しがる人がいるから。そのほしい人への対処もっていうのは特徴的に見える。取る人だけが悪いんじゃなく、にわとりかたまごかじゃなく両方に対処が必要なんだなぁ。

ターゲット15.aは生物多様性と生態系保全、それらの持続的な利用のための資金動員と大幅な増額。15.bは持続可能な森林経営推進のための資金調達、開発途上国へインセンティブを付与するための相当量の資金動員。ふたつとも目的は少し違うけど要はお金をたくさん投入するよっていう目標。
15.cは持続的な生計機会追及のための地域コミュニティの能力向上、保護種の密猟や違法取引に対処するための努力に対する世界的な支援強化。
これからの生態系、森林を持続的にしていくための資金面、リーガル面?の強化が手段としてあげられている。

キャッチフレーズだけでみると目標14「海の豊かさを守ろう」のペアみたいに「陸の豊かさも守ろう」ってゴロが良い感じだけど、その中身は具体的に生物多様性、森林経営、絶滅危惧種保護、違法取引とか侵略について、それぞれの回復とか悪化阻止とかが目標になっているのが目標15。環境問題でよく取り上げられる「パーム油」関連はまさにこの目標に該当する。日本人の暮らしの中にも浸透している。RSPO認証のパーム油か、FSC認証の木材か、一般商材から判別するのは難しいけど、ナチュラルローソンとか?オーガニック系商品屋さんでは認証マークついた商品も売っているはずで、少々高くてもそれを選択して買うという行為の積み重ねが世界を変えると信じて動いてみる必要がある。

SDGsの考え方だけでなく、2030年までの未来がどうなるか知りたいならコレ。網羅的な視点で世の中を捉えてわかりやすく解説してくれている1冊。

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SDGs目標のターゲットを考える 14.海の豊かさを守ろう

SDGs17目標の14番目、「海の豊かさを守ろう」。本文は「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」。イメージがつきやすい目標だと思う。ただし、ただ海のことだけ考えれば良い問題ではない。例えば日本では2020年7月から始まったレジ袋有料化などをはじめとする「脱プラスチック」は、この海洋資源問題につながる。ターゲットにキーワードが出てこないけど、関連する問題はたくさんある。

ターゲット14.1は海洋堆積物や富栄養化を含むあらゆる種類の海洋汚染を防止し、それを削減すること。この「あらゆる種類の」がポイントだと思う。すぐ思いつくのは、重油とか、温度とか、ゴミとか。重油問題はこの前日本の船が海外領域で座礁して重油流出したのが問題になっていた。日本ではあまり大きく報道されていないようだけど、、ゴミによる海洋汚染の最たるものが、プラスチック。クジラとか海洋生物の死体のおなか開いたらビニール袋が大量に出てきた、とかあまり珍しくない話になってしまった。ビニール袋だけでなく、5ミリ以下のプラスチック=マイクロプラスチックも、生物の体内に入って同じことを起こしている。

14.2は、海洋と沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避し、健全で生産的な海洋を実現・回復するための取り組みを行うこと。海洋資源の中で特に生態系に注力した目標。14.3は、海洋酸性化の影響を最小限化し対処すること。世界の海洋および沿岸の海域調査によれば、現在の海洋酸性度は産業革命から平均約26%増加している。大気中のCO2量が増えているが、海の中でもCO2増による酸性化が進んでいる。

ターゲット14.4は、乱獲や違法・無報告・無規制(IUU)漁業および破壊的な漁業観光の撤廃と、生物化学的特性によって定められる持続的生産量のレベルまでの回復。海洋を汚さないだけでなく、漁業に対する目標。最近日本でも、大企業の乱獲によって本来の漁場にたどり着いた魚が激減・品質が悪い状態になるなどのニュースが出ている。地球全体で、資源量と漁獲量をコントロールする必要がある。

ターゲット14.5は少なくとも沿岸域と海域の10%の保全。これはどういうことなのか、、今は10%も保全できていないのか、調べてみないとわからない。

14.6は、2020年までに過剰生産や乱獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制すること。ターゲット14.4で漁獲自体のコントロールを目標としているけど、これはその根源となる補助金を断つ目標。というかこんな補助金があるのか、と思ってしまうけども、トレードオフにつながるすぐには解決できない問題なんだろうなと思う。

ターゲット14.7は小島嶼開発途上国・後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益の増大。先進国からの提供だけでなく、開発途上国も自立できるようになろうという目標。漁獲だけでなく、観光資源としても持続可能を目指している。

ターゲット14.aは海洋技術の移転に関する「ユネスコ政府間海洋学委員会」の基準・ガイドラインを考慮した研究能力向上、海洋技術移転。14.bは小規模・沿岸零細漁業者への海洋資源・市場へのアクセス提供、14.cは「我々の求める未来」のパラ158のとおり、国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施し海洋と海洋資源の保全および持続可能な利用を強化すること。誰一人取り残さない=小規模・零細漁業者も取り残さない方法、アクセスだけでなく技術も。

これらの活動の結果を受けて、保護を受ける海洋生物多様性水域は広がってきており、重要な海洋生物多様性水域は2000年30%から2018年44%へと拡大している。これでとどまらず、より高い目標の達成が望まれる。
海資源に関する目標群。自分は内陸生まれで今の仕事も直接海に関係しない、少し縁遠くも感じる目標。だけど、無意識に捨てたプラスチックが風化してマイクロ化して海に流れ着いて海洋資源を汚染している可能性は大いにある。スーパーで買う魚の出どころが適正かどうかを知るすべは今の時代はまだ難しいけど、自分の生活によって発生するゴミの行く末はイメージすることができる。小さいことから変えていけると良いなぁ。

SDGsを正確にとらえるならコレ。SDGsの第一人者が語るSDGs採択の経緯や日本人が理解しやすいターゲット説明などを丁寧に説明している1冊。

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SDGs目標のターゲットを考える 13.気候変動に具体的な対策を

SDGsの17目標13番目は「気候変動に具体的な対策を」。いわゆる「環境問題」対策しましょう系企業が選びがちな目標。ただ17目標中キャッチフレーズのイメージからターゲットが一致しない群の目標のひとつでもあるので、目標だけみて選ぶのは注意が必要。わかりやすくいうとターゲットがガチ。名ばかり関連で選んだらウォッシュになって逆に印象悪くなる危険がある。本文は「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る。」これだけ見ても、ガチ感がある。

ターゲット13.1は、すべての国で気候関連災害や自然災害に対する強靭性(レジリエンス)および適応力を強化する。ターゲット13.2は、気候変動対策を国別の政策、戦略および計画に盛り込む。どちらも国規模の施策に見える。国連データによると2017年時点で、災害に起因する経済的損失は3000億ドル(約34兆円)を超えている。ここ5年での地球平均気温も過去最高となっている。

ターゲット13.3は気候変動の緩和、適応、影響軽減、早期警戒に関する教育、啓発、人的能力および制度機能の改善。目標13の中で一番ハードルが低いターゲットかもしれないけど、これも効果が視覚化できないと対外アピールできないので本気度が問われる。

13.aはUNFCCC(国連気候変動枠組み条約)の先進締約国によるコミットメントの実施とグリーン気候基金の本格始動。このUNFCCCの目標は2020年が期限。どうなったのか、追わねば。グリーン気候基金は、「グリーンボンド」は聞いたことあるから始動しているはず。本格ってどこまでのことを指すのかだけど。

13.bは女性や青年、地方、社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当て、気候変動関連の効果的な計画策定と管理の能力を向上するメカニズムの促進。難しい。未来投資の行動というか、気候変動をこれから先も起こさない、被害を最小化する、早期に警戒できるようになるための仕組みをつくること、だと思う。気候変動関連の災害が発生したときに甚大な被害が発生して、復興が難しい後発開発途上国な小島嶼開発途上国が対象だけど、日本人でも万全かと言われるとそんなことはないはずなので必要な対策だろうと思う。

目標13以降はより地球規模、グローバル規模の目標になってくる。その分、キャッチフレーズとターゲットの規模感のギャップも大きそう。個人でできる活動はなかなか浮かばないけど、ほかの目標のターゲットに対する活動が連鎖してこの目標にもつながると考えると、いろいろできることはある。肉食を少し控えてみる、とかゴミ削減、とか。かなーと。

SDGsの成り立ちを知るならコレ。急にできあがった概念ではない。昔から言われてきた気候変動、環境問題と、社会問題、それと経済成長の両立がどんな経緯で合体したのか知ることができる1冊。

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SDGs目標のターゲットを考える SDGs.12つくる責任、つかう責任

SDGs17目標の12番目は、「つくる責任、つかう責任」。個人の消費者としての責任が問われる目標で、テレビとかメディアで良くみかける目標の一つな気がする。本文は「持続可能な生産と消費の形態を確保する」。このキャッチコピーは秀逸というか適格だなぁと思う。しかしターゲット見てくと意外と幅広い。そして、全員参加の必要性がとても感じられるターゲット群。

ターゲット12.1、12.2は、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)の実施、天然資源の持続可能な管理および効率的な利用など、最初の定義な感じで全世界の参加とまずこの天然資源をどうにかっていう目標が挙げられている。天然資源は、食料問題にもエネルギー問題にもつながり、ほかの目標との連動性がある。

12.3はいわゆるフードロスの削減。ただ削減するっていう漠然とした目標でなく、「2030年までに一人当たりの食料の廃棄を半減」と、期間と量まで言及している。ちなみに日本人の年間フードロス量は一人当たり年間5キロ、日本全体で300万トンと言われており、これは世界全体の食品排気量の1/3相当に該当する。そしてその大半が、まだ食べられる状態のもの。この廃棄されている分の量を世界に回すだけでも、とてつもない数の貧困層を救うことができるといわれている。日本人はほぼ全員、意識して即行動しないといけない問題。

12.4は化学物質やすべての廃棄物の管理の環境上適正なものにすること、化学物質や有害な廃棄物の大気、水、土壌への放出の大幅削減。天然資源を持続的に使えるようにすることと合わせて、人工的に作り出したものも含めて地球環境への影響を出さないようにというのがこの目標。原子力の取り扱いや自然には存在しえず自然環境に影響がでる化学製品などが該当しそう。

ターゲット12.5は、廃棄物の予防、削減、リサイクルおよび再利用による廃棄物の発生の大幅削減。フードロス、化学物質だけでなくそもそものゴミも減らしましょうと。日本のゴミ廃棄量もえげつない。川崎では1日数百万トンのゴミを海に埋め立て続けているし、少し前まで大量のゴミを中国やアジア圏に輸出していた。SDGsに対する海外の意識の高まりやコロナの影響もあり、今はあまり?輸出できていないが、その分日本中のゴミ一時保管所に大量のゴミが廃棄されずにたまっていてパンク寸前とのこと。これも大きい問題。個人のゴミ廃棄量も減らさないといけないし、例えば過剰包装とかもやめていかねば。

ターゲット12.6は大企業やグローバル企業に対する、持続可能性に関する情報の定期報告書への盛り込み。企業は会社としての責任を果たすだけでなく、その情報をちゃんと報告することが求められる。国連データでは、世界的に収益の大きい企業250社のうち93%が持続可能性について報告している。また、49か国の上位100社のうち3/4が報告している。この流れは今後も増加していくことが予想される。

ターゲット12.7は、持続可能な公共調達の慣行促進。これは国とか自治体とか向けなのかな。変なとことか怪しいとこから調達するんでなく、資源の調達元まで責任を持ってねということな気がする。

12.8は2030年までにすべての人が持続可能な開発および自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。物量として廃棄量を減らす取り組みだけでなく、そもそも調和した状態を意識し、正しい情報を持つという精神面?まで含めた目標。企業の適正な生産量はAIの販売予測とかで減らせるかもしれないけど、個人が無駄を出さずに買いものをしたり、廃棄せずに使い切ることは個人の意識によるものが大きい。だから全員が意識することを目標にしようということ。教育も必要そう。道徳なのか総合なのか、吸収されなければそろそろ学校教育の科目に「SDGs」とか「サステナビリティ」っていうのが登場しそう。

12.aは開発途上国に対する持続可能な消費と生産形態の促進の科学的技術的能力の強化の支援。ゴミ問題関係は先進国が圧倒的に排出しているので先進国向けの問題にとらえられそうだけど、開発途上国が将来今の先進国と同じ道を歩まないように支援しようという目標。先進国とは異なる発展の仕方を考えないといけない。

12.bは持続可能な観光業に対する持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法の開発・導入。目標11の文化遺産自然遺産の保護保全にもつながる、観光業による外貨獲得が地域の持続可能性を高める効果的な手段なんだろうな。で、持続可能な開発が観光業にどういう影響を与えているか、測定できるようにするというのがこの目標。

ターゲット12.cは、開発に関する悪影響を最小限にとどめつつの貧困層やコミュニティの保護、必要に応じた有害な慣例の廃止、化石燃料に対する非効率な補助金の合理化。開発途上国の法制度や補助金が、有害なものであったり持続しないものであったりするので制度自体を見直していこうというもの。これはもしかすると日本でも該当しそう。利権主義というかなんというか。

目標12は、個人の生活スタイルや企業の活動を含む、全世界での取り組みの本気度を試すような目標に感じる。個人の行動を結果に見えやすくすることで進捗が見えるかもしれない。自分はペリーの回に登場したプランターをコンポストにして、生ごみが相当量減った。相対的に燃えるゴミの量が減っており、ゴミの捨てる回数も減っている。課題はプラゴミ、どうにも削減しにくい。最近はレジ袋有料化によって、ゴミ袋用にビニール袋買うような本末転倒な状況になりかねないので、野菜や商品が入っていた袋をゴミ袋として代用している。袋ゴミ分は減らせているけどまだ微々たるもんなのでどうにかしたい。

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SDGs目標のターゲットを考える 11.住み続けられるまちづくりを

SDGsにある17目標のうち11番目の目標「住み続けられるまちづくりを」。文字通り、まちづくり。その本文は、「包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現する」。まちづくりの定義というか、あり方を具体的に示している。

ここまでの1~10の目標の多くが個人や企業のような、ある意味「個」の救済や行動を示していたのに対し、ここで「まち」という規模目標が出てきた。
個の力の限界を地域で支えるというか、格差の発生を組織で防ぐというイメージにも感じるターゲットが並ぶ。

最初のターゲット11.1は「2030年までに、すべての人の適切で安全、安価な住宅および基本的なサービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。」スラムという言葉のインパクトが大きく、日本に関係ないんではと思いそうになるけど、~アクセスの確保までで言えばどの地域にも当てはまり、日本でもこれがクリアされている地域はそう多くない。あと「スラム」て、そういう表現しないだけで、いわゆる「あのスラム」みたいな場所と感じられないだけで、前の記事であった日本の「相対的貧困」の現場は日本の場合近しいものがあると思う。

ターゲット11.2は社会的に弱いと言われる立場の方のニーズに配慮した交通の安全性改善、持続可能な輸送システムへのアクセス提供。高齢化が巣数地方では、最近は免許返還後の高齢者など「交通弱者」への乗り合いバスや介護タクシーなどがすでに稼働している。「持続可能」とは、そのバス会社やタクシー会社がその運用を続けられるように、ちゃんと事業として成立させること。受益者負担は手っ取り早いけど、社会的弱者は想定的に貧困でもあり、そのやり方はやっぱ持続しなそうだなと考えると、その手段の実現は難しい課題だと思う。

ターゲット11.3は、あらゆる人を排除しない持続可能な都市化促進、誰もが参加して持続可能なまちづくりの計画管理。これは自分の目標にも近い。パイプドビッツという会社の研究所が行った「幸福度調査」では、まちづくりの様々な取り組みへ「参加」するほどその協力した人の幸福度があがるという統計結果も出ている。社会参加はコミュニティへの所属も同義であり、コミュニティのつながりが強い地域は誰かの異変にもすぐに気づくことができ、人のつながりの面でも持続可能になると思う。そのような場づくりが求められる。

ターゲット11.4は世界中の文化遺産、自然遺産の保護保全。この持続可能なまちづくりの目標には文化遺産、自然遺産も含まれる。重要な観光資源にいかに人がきて、金を落としていくかは地域の持続可能性に大きく影響するし、大事な目標、それもリスクでなく、チャンスととらえるべき前向きな目標。SDGsの目標群の中であまり触れられていない「文化」面に言及している数少ないターゲットでもある。

11.5のターゲットは、水害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、直接的経済損失を大幅に減らすという目標。このあと出てくる気候変動にもかかわる、日本でも毎年発生するようになった豪雨や台風直撃による水災害の被害を大幅に減らすというもの。日本にもめちゃくちゃ大きい課題。企業や自治体がいろいろ画策?対策?してるところと期待。

国連のデータによると、1990年から2013年にかけて、災害に起因する死傷者の約9割が低中所得国で発生している。災害が新たな貧困を生むという話はどこかでした気がする。そして災害が、貧困からの脱出を阻害する要因にもなっている。これを考えると、防災めちゃ大事。

ターゲット11.6は大気汚染や自治体廃棄物の管理への注意による、都市一人当たりの環境上の悪影響軽減を訴えている。国連の2016年の統計では、都市住民の10人に9人は汚染された空気を吸っており、約4200万人が大気汚染によって命を落としている。日本の約1/3の人口が大気汚染を理由に毎年亡くなっていると考えると、これも大きい問題。

11.7は、すべての人に対する安全で利用しやすい緑地や公共スペースへの普遍的なアクセス。なんとなく11.2や11.3と似ているが、交通アクセス、社会参加に次いで、「緑地や公共スペース」いわゆる公園とか公的施設へのアクセス。日本ではある程度の住宅街ごと?に公園つくりましょうとか公民館作りましょうみたいのがあった気がするが、そこにみんなが気軽に行けるようになりましょう的な感じか。

11.aは都市部と都市周辺部、農村部間の良好なつながりの支援。都市部の一極化や地域間格差を是正し、交流を促し、資源を分け合うような支えあうような施策や計画が求められる。経済・社会・環境面どれかに偏ることなくすべての調和を考える必要があり、「先進国が途上国を支える」とか「都市部が田舎を支える」とか一方的かつ上下関係があるものでないのが重要かつ注意が必要。

11.bは仙台防災枠組2015-2030に沿ったあらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施。2011年の東日本だ震災を受けて検討が始まり、2015年までに検討され開始した防災枠組み。地震や津波だけでなく様々な災害リスクを想定し、防災・減災対策を実施することが求められる。「あらゆるレベルで」というのがポイントに感じる。

最後11.cのターゲットは後発開発途上国における現地資材を用いた持続可能かつレジリエントな建造物の整備支援。先日もトルコ沖で地震があり、トルコやギリシャで大きな被害が出ている。建物の崩壊も多い。後発開発途上国は目の前に取り組まなければならない課題が多く、例えば建造物の耐震性や強靭性は優先度が低くなっている可能性がある。技術的な支援は行うが現地の資源でつくるというのもポイント。資源を輸入に頼るのは持続的でない。

目標11はキャッチコピーどおり、持続可能なまちづくりのありかたに対するもの、ハード面ソフト面両面からの施策、現状の改善だけでなく将来のリスクにも備えるものがあげられ、理想的なまちのありかたを問いているように感じる。これらの課題が解決された状態のまち、見てみたい。

地域活性化には欠かせない目標11、地域活性化がSDGsとどう絡むのか、どう活用するのかを考えるならコレ。SDGs未来都市に選ばれている自治体の先進的な取り組み事例もある。

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SDGs目標のターゲットを考える 10.人や国の不平等をなくそう

SDGs17目標の目標10番目は、「人や国の不平等をなくそう」。本文は、「各国内および各国家間の不平等を是正する」。

目標5でジェンダー平等があるけど、こっちはより広義なイメージ。目標5はジェンダー平等といいつつ女性の立場向上を中心に「多様性」を重視している。この目標10はいわゆる格差をなくすことを重視している気がする。

ターゲット10.1は「2030年までに、各国の所得下位40%の人口の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。」とあり、国内経済格差をなくすことが一番重要視されている。日本においても、所得格差の指標であるジニ係数(0に近いほど平等、1に近いほど格差が大きい)は2017年に0.5594という数字で、格差は大きい。

ターゲット10.2は年齢、性別、障がい、人権、民族、出自、宗教あるいは経済的地位その他の状況にかかわりなくすべての人のエンパワーメントと社会的、経済的、政治的な参加促進。これは「エンパワーメント」という言葉もあり、目標5に似ている。人種差別や宗教対立などの問題が関連すると思う。

10.3は、差別的な法律、政策、慣行を撤廃して成果の不平等を是正すること。日本でも男女雇用機会均等法ができるまでは差別的な法律があったんだと思う。そして日本がいまだにジェンダーギャップ世界ランキングでめちゃくちゃ低い位置にいるのは、法律をつくってもなお男女平等にならない慣行が続いているからだと思う。どこか遠い国の話、ではない。

ターゲット10.4は税制、賃金、社会保障政策などを導入して平等の拡大を達成すること。10.1にも紐づくのかもしれないけど、生活弱者は制度的に救済して平等性を保つということか。

10.5は、世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善、この規制実施の強化。これはおそらく金融市場の腐敗を防止するというか、強いやつがより強くなるのを防ぐとかかなと思う。

10.6は、グローバルな国際経済や金融制度の意思決定の場で開発途上国の参加や発言力の拡大、信用力・説明責任がある正当な制度の実現。
これも10.5に近く、お金がなくて立場が弱い国のエンパワーメントということだと思う。

10.7は良く管理された移住政策で秩序のとれた安全な移住や流動性の促進。平等で移住の話っていうのがあまりつながらないけど、移住した先でも疎外されないようにということなのかなんなのか。

ターゲット10.aは、世界貿易機関協定に従い、特に後発開発途上国に対する特別で異なる待遇の原則を実施すること。これは先進国や開発途上国に比べても、後発発展途上国にはより手厚い待遇をしなければ平等な状態にならないということなんだと思う。国連データによると、2010年から2016年の間に、小さな島で国土が醸成される開発途上国がゼロ関税率で輸出した製品が20%増加したとのこと。平等だからといって、島で構成されている貧しい国と陸でつながっている裕福な国の関税を同じにするのは平等ではないということか。公正と平等の違いかな。

ターゲット10.bは各国の国家計画に従い、ニーズが最も大きい国々への政府開発援助および海外直接投資を含む資金の流入促進。開発途上国が正しく発展できるための援助。政治が腐敗しているような国だと資金援助をしても政治家がプールして国民は貧しいままっていう話も聞くから、「資金」の援助はシビアにやる必要があると思うけども意図はわかる。

目標10最後のターゲットは、10.c移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げる。5%を超えるものは撤廃するという目標。国連データによると、2017年に記録された送金総額6130億ドルのうち、75%にあたる4660億ドルは低・中所得国が送金先になっているとのこと。送金コストの高さが、送金額の減少につながる。ビットコインみたいのは本来この送金コストをなくすというのも目的のひとつだったはず。手数料貧乏になっては意味がないからそこをなくして平等性を高めようということなんだろうけど、コスト回収元の金融機関?は反発しそうだなぁ。

目標10は大きく見ると経済格差、社会格差の是正を目標としている。これは日本でも訴えられだして久しい気がするので、なんとなく馴染みやすい目標群にも思える。ただ、いまだに解決していないから馴染みになってしまっている面もある。SDGsのターゲットは途上国向けの表現が多いし、もちろん日本に住む自分たちができることで途上国向けに何かっていう行動や意識を持つことも必要だけど、日本国内にも大きい問題があることは忘れちゃいけない部分。
平等であること、差別しないことは意識していても、自分の中の「当たり前、普通」の概念が他の人のそれと違った時に排他してしまう考えは無意識にやってしまうものだと思う。でもそれが不平等や差別のはじまりでもある。なんでもありの考え方である必要はないけど、「自分の考え方はこう、でもこれはたくさんある考え方のひとつ」と考えられるかどうかかなと思った。

SDGsについて、基礎から知りたい人にはコレ。まさに基礎がわかる1冊。内容も難しくないので入門編に。

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SDGs目標のターゲットを考える 9.産業と技術革新の基盤をつくろう

SDGsに17目標あるうち9番目は「産業と技術革新の基盤をつくろう」。いかにも先進国向けなニオイがする目標。本文は「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包括的で持続可能な産業化の促進およびイノベーションの推進を図る」。こうなると対象を明言していないことはわかる。これも、日本の大企業・IT企業・金融業界が選びたがる目標のひとつ。

9.1は、説明するよりそのままの訳を読むほうが分かりやすそう。
「すべての人が平等に安価にアクセスできることを重点においた経済発展と福祉の実現のため、信頼できる質の高い持続可能で強靭なインフラ(越境インフラを含む)を開発する。」
経済の発展と福祉を実現する持続可能なインフラ開発。これはソフトともハードとも明言されておらず、両方該当する「社会インフラ」と考えられる。ハードインフラの強靭さも重要だし、現在およびこれからの情報化社会の中ではソフト面のインフラも強靭でなければ持続しない。

ターゲット9.2は包摂的で持続可能な産業化の促進、各国の雇用とGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させるとある。ここで言っている産業セクターとは、第一次~三次産業、六次産業のどれを指しているんだろう。原文読んだほうが良いべか。。産業って、産業革命をイメージすると工業かなと思うけども。

9.3は、金融サービスやバリューチェーン、市場への統合に対するアクセス拡大が目標になっていて、金融業界よりの目標に見える。「特に」につづいて開発途上国が強調されている。マイクロサービスが成長していけるための支援をしましょうという感じか。

ターゲット9.4では、資源利用効率の向上、クリーン技術、環境配慮技術や産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善による持続可能性の向上が目標。ただ単に生産性を向上して環境に悪影響を及ぼすものはもうダメで、社会や環境を良くすることと両立するような開発をしましょうという目標。先進国が先進技術を持って取り組むことができる目標、既存のビジネスをこの方向に変えていくべきターゲットだと思う。

国連データによると、全世界の炭素強度(エネルギー消費量に対する二酸化炭素排出量)は2000年からの15年で付加価値1ドルあたり二酸化炭素換算で0.38kg→0.31kgに19%低下しているそう。トヨタとかはゼロエミッションを目標に掲げて取り組んでいる。1ドルあたり300gと考えるとなんかまだ多い気もする。単に減らすことを努力してもゼロにはならないので、「減らす」を目標にするのではなく「0にする」を目標にすることで、イノベーションが生まれる。

ターゲット9.5はすべての国の産業セクターにおける科学研究の促進によって技術能力を向上させることが挙げられている。先端技術や知識を備えて応用できる研究者・開発者・技術者が多いほど、生まれるイノベーションも多くなるでしょうということか。こういった人材はすぐに育てられるものでないので、企業にとっては長期間にわたる投資の覚悟が必要になると思う。

9.a、9.b、9.cのターゲットはいわゆる途上国向けに、金融・テクノロジー・技術の支援強化を行い、その持続可能で強靭なインフラ開発を促進すること、それらの国の国内技術開発、研究およびイノベーションを支援すること、情報通信技術へのアクセス向上が目標。これらの途上国を支援するのは誰か?先進国でしょうね。日本も、グローバル展開してなかろうとも意識したら良いとこでないかと思う。顧客が日本国内に閉じてても、オフショアなんかしていれば立派な当事者。

ターゲットまで見ていくと、先進国はイノベーション力があるんだからそれを活用して社会にも環境にも配慮したより強靭なインフラの基盤をつくりましょ、それを自国のためだけに使うんでなく途上国の力を伸ばすとこにも活用しましょっていうことが書いてある。目標9でも、LIXILのトイレの件は大きく貢献している。これからの「支援」は、ただ寄付するとかあげるだけでなく売るだけでもなく、現地に雇用と生産体制をつくって地産地消できるサイクル・ノウハウや知識を提供するところにある。お金の寄付は政府が腐敗しているので市民に届かない、だから服などの現物支給のほうが良いという話も聞いたことがある。現物支給も一時しのぎにはなるけど根本解決にはならないので、支給するならミシンと布をっていう話も聞いたことがある。豊かな人のいらないものを貧しいひとに与えるという支援は、もしかしたらなくなってくるのかもしれない。

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